迷いながらも「安心基地」であり続けたい。母として学び続けた18年

「子どもをもっと理解したい」から始まった、18年間の学び

娘さんが20歳、息子さんが18歳、ご自身が50歳を迎える節目に、これまでの子育てを振り返った三島朋子さん。18年間、アタッチメントについて学びながら、家庭で実践を重ねてきました。今回の報告は、子育ての「正解」を伝えるものではなく、一人の母親の立場から、迷いながら子どもたちと歩んできた日々を振り返ったものです。

協会との出会いは、息子さんが生後4か月の頃に参加した、市の公民館主催のベビーマッサージ教室でした。当時は、育児書に書かれた内容と娘さんの成長の様子との違いに戸惑い、疲れ切っていたといいます。教室で知った子どもの発達や心理、親子の安心できる関係を育むアタッチメントの考え方に心を動かされ、「もっと知りたい」と協会へ電話をかけました。

子育てや発達について学んだ経験のなかった三島さんを、協会は「母親が知っていたら役に立つ知識です」と迎え入れました。この出会いが、学び続ける原点になっています。

ベビーマッサージを入り口に、育児セラピスト、食育、子育てマインドフルネス、発達支援療育アドバイザーなど、その時々に必要だと感じた講座を受講してきました。目的は資格を取得することそのものではなく、「今の子どもたちを理解したい」「親として、今の自分に必要なことを知りたい」という思いでした。学んで実践し、新たな課題に出会ったらまた学ぶ。その積み重ねが18年間続いています。

思うようにいかない日も、子どもが戻れる「安心基地」に

家庭で大切にしてきたのは、「困ったら考える」「寄り添う」という姿勢です。子どもの行動だけを見るのではなく、その奥にある気持ちや成長の過程に目を向けること。親が答えを与えるのではなく、一緒に考えること。そして、子どもを変えようとする前に、自分自身の関わり方を見つめ直すことを心がけてきました。

その支えになっているのが、子どもがどんなときにも安心して帰ってこられる存在である「安心基地」という考え方です。初めて代表の廣島の講義を受けたときに聞いた「需要と供給」という言葉も、今なお心に残っています。親が与えたいものと、子どもが求めているものは、必ずしも同じではありません。三島さんは、その子が今、本当に必要としている関わりは何かを考え続けることを大切にしています。

もちろん、思うようにできなかった日や、感情的になってしまった日もありました。18年間には、お子さんの入院や食物アレルギーへの対応、離婚、思春期の親子関係など、さまざまな出来事がありました。この10年間は、シングルマザーとして2人のお子さんを育ててきました。

特に娘さんの思春期には、心配して声をかけても離れていってしまうなど、学んだ知識や理想だけではどうにもならない難しさを経験しました。それでも、娘さんの変化に気づき、必要な人や支援機関につながりながら見守り続けました。「安心基地」や「寄り添う」という考え方が、自分の中にあったことが支えになったといいます。

この経験を通じて、三島さんは、学びは「問題をなくすため」だけのものではないと実感しました。問題が起きたときに子どもを理解しようとし、自分の関わり方を考え、必要な人や場所につながっていく。そのための土台になるものだと捉えています。

子どもとともに育ち、人とのつながりへ広がる学び

以前は、自立とは「何でも一人でできること」だと考えていた三島さん。しかし、子どもたちとの日々を通じて、自分で考え、自分で選び、自分の人生を歩んでいく力なのだと考えるようになりました。現在は、お子さんたちがそれぞれの経験を糧に、自分の進む道を決めている姿を見守っています。

18年間を振り返り、一番大きく変わったのは自分自身だったといいます。子どもを育てているつもりが、自分も一緒に育てられていた。安心できる存在であることや、相手に寄り添うことの意味を、日々の暮らしの中で子どもたちから教わってきました。

その学びは、現在の人との関わりにも活かされています。子育ての悩みを聞く場面では、すぐに答えを伝えるのではなく、まず相手の話に耳を傾け、思いを受け止め、一緒に考えることを大切にしています。安心して話せる関係を築く中で、相手の表情が和らぎ、「話せてよかった」と言ってもらえることもあるそうです。

また、息子さんが通う高校ではPTA会長も務めています。自分に何ができるかを模索しながら、子どもたちへの恩返しができればという思いで、学校に関わっています。

三島さんが共感しているのは、協会が大切にしている「アタッチメントライフ」という言葉です。名刺にも「ご縁つながる attachment Life」と添えています。家庭だけでなく、地域や日々の人との関わりの中でも、相手を理解しようとする姿勢や安心できる関係を大切にしていきたいと考えています。

「私を母にしてくれてありがとう。私の子供でいてくれてありがとう」。子どもたちへの感謝とともに、今後は18年間の経験をもとに、子育てや人を育てることに関わる方々へ、アタッチメントの大切さを伝えていきたいと考えています。


三島 朋子さん

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