学びを園全体へ、アタッチメントがつないだ保育の輪
保育士として約30年にわたり現場で活躍する滝口まり弥さん。アタッチメントの学びをきっかけに、園内研修や保護者への啓発を継続し、子ども・保護者・保育者がともに育ち合える保育環境づくりを実践されています。育児セラピスト2級講座、育児セラピスト1級講座、アタッチメント食育講座、トレーナー講座を受講された滝口さんより、これまでの学びと保育現場での実践についてお話を伺いました。
「アタッチメント」を本当に理解したい
保育士として30年近く働く中で、子どもの発達や保護者支援、虐待対応など、さまざまな研修を受講されてきました。その中で、どの研修でも必ずと言ってよいほど耳にした言葉が「アタッチメント(愛着)」だったといいます。しかし、言葉としては知っていても、「アタッチメントとは何か」を自分の言葉で説明することは難しく、本質を理解できていないのではないかと感じるようになったといいます。「もっと深く学び、保育の中で活かしたい」と探していた時に出会ったのが、日本アタッチメント育児協会でした。
まずは「育児セラピスト2級講座」を受講。そこで、これまで保育現場で経験してきたことが理論と結び付き、「あ、そういうことだったのか」と大きな納得感を得ることができたといいます。その後、さらに学びを深めるため「育児セラピスト1級講座」へと進まれました。
学びを自分だけのものにしない
1級講座で学んだことで特に印象に残ったのは、アタッチメントは親子関係だけでなく、保育士と保護者との信頼関係にも深く関わるということでした。
保護者対応に悩み、自信を失ってしまう保育者は少なくありません。だからこそ、この学びを自分だけで終わらせてはいけないと思い、勤務先の保育園で園内研修を実施しました。研修ではロールプレイを取り入れ、「保護者の悩みの本質は何か」「寄り添うとはどういうことか」「答えを与えるのではなく、保護者自身が答えを見つけられるよう支えるにはどうすればよいか」について、職員同士で意見を交わしました。現場だからこそできる、実践的な学びを深められました。
保護者にもアタッチメントを届ける
さらに、滝口さんは保護者にもアタッチメントの大切さを伝えていこうと考えました。
当時担任していた1歳児クラスでは、クラス担任全員で思いを共有し、懇談会などを通して「子どものサインに応答することが自己肯定感の土台になる」ということを継続して伝えました。押し付けにならないよう心掛けながら発信を続けられたのは、担任全員が同じ理念を共有していたからこそです。一人では難しいことも、チームだから実現できた取り組みでした。
4年間で見えてきた変化
現在、アタッチメントを伝え始めて4年目。保護者からは、「アタッチメントは難しい理論ではなく、子どもに寄り添い、声や表情を受け止めることなのですね」「自己肯定感は、このような積み重ねの中で育まれることが分かりました」といった声が届くようになりました。
また、子どもたちにも変化が見られたそうです。困っている友達に自然と声を掛けたり、できないことを教え合ったりする姿が増えました。また、保護者同士も自分の子どもだけでなく、クラス全体の成長を喜び合い、支え合う温かな関係が育まれています。
アタッチメントは園全体を育てる
滝口さんが、この4年間を通して実感したのは、アタッチメントは子どもだけでなく、大人同士の関係も豊かにするということです。親子関係が安定することで保護者にも安心感が生まれ、保育者との信頼関係が深まります。その信頼は園全体へと広がり、子どもたちにとって安心できる環境づくりにつながっています。
子育てを取り巻く環境は時代とともに変化しています。しかし、「安心できる人との関わりを土台に子どもは育つ」というアタッチメントの本質は、これからも変わることはありません。これからも、この学びを保育の現場で実践し、子どもと保護者、そして保育者へ「アタッチメントの大切さ」を伝え続けていきたいと語られています。


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