孤育ての経験を力にー触れることから始まる学び-

アタッチメントと性教育をつなぐ講師活動


滋賀県内で活躍する原井有加さんは、乳幼児期からの「包括的性教育」をテーマにした講師活動を行っています。活動の場は、子育て支援センター、保育園、幼稚園、フリースクール、放課後等デイサービスなど多岐にわたり、子ども・保護者・職員を対象に年間50件以上の講演や研修を実施しています。

また、今年からは「アタッチメント・ベビーマッサージ」や「育児セラピスト」の資格を活かし、地域の子育て支援団体のパートナーとしても活動を拡大。イオンモール内の子育て支援ひろばなどでも講師を務めるなど、幅広い場で子育て支援に携わっています。


さらに、元NICU(新生児集中治療室)・GCU(回復期治療室)・小児科外来・保育園看護師という経歴を持ち、その経験を活かした育児相談にも応じています。アタッチメント(親子の愛着関係)や発達心理学といった根拠に基づく学びをベースに、ベビーマッサージを入口として、親子の触れ合いにとどまらず毎回テーマを設け、保護者へ学びを届けています。その活動が評価され、京都新聞でも取り上げられました。

活動を始めたきっかけ

活動の原点は「我が子にベビーマッサージをしてあげたい」という思いからでした。結婚を機に家族や友人のいない土地で子育てをする中で、孤独を感じるようになり、次第に「孤育て」となっていったといいます。子どもが好きなのに我が子にはイライラしてしまう―そんな葛藤から育児ノイローゼを経験しました。

支援センターにも馴染めず、頼れる人もいない中で必死に働きながら子育てを続ける日々。そんな中、夫の転勤で地元に戻ることができ、同じように孤独を感じているお母さんたちの居場所をつくりたいと思うようになりました。しかし、ベビーマッサージ教室がすでに多くあったため、自分の得意分野を活かして新たな形の支援を模索。その結果、「性教育」を軸にした活動へとつながっていきました。

自身の経験から、「性」をタブーにせず、親子で安心して話し合える環境づくりの大切さを感じ、身近な場所から包括的性教育を広めたいという思いが、今の活動の原動力となっています。

母さんたちの気持ちに寄り添うサポート


講師として活動する上で活かされているのは、アタッチメント理論や発達心理学の知識、そして心理カウンセラーとして学んだ対話の技術です。これらを組み合わせることで、お母さんたちの気持ちに寄り添いながら、実践的かつ心に響くサポートを行っています。

知識と心の両面から親子を支える学びの場

原井さんの活動の最大の特徴は、看護師としての専門的な知識と、アタッチメントをベースにした温かい支援が融合している点です。単なるベビーマッサージ指導ではなく、「触れること」そのものの意味や、親子の関係づくりに関する深い学びを伝えています。

また、「性」に関する話題をオープンに扱うことができる点も大きな強みです。誰もが関わるテーマでありながら、話しづらいと感じがちな領域についても、安心して学べる場を提供しています。原井さんの講座は、知識と心の両面から親子を支える学びの場として、多くの参加者に支持されています。

原井 有加さん/ 看護師、「生」教育アドバイザー

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