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理事長メッセージ

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わたしたちが描く世界観

わたしたちが描く世界観

現代は、「子育て」に問題を抱える時代になってしまいました。子どもがちゃんと育つことが難しい時代と言っても良いと思います。その大きな要因の一つに挙げられるのは、「親の問題」ではないでしょうか。

実際、親としての役割を果たせない「親になれない親」や、子どもを支配し、親の言いなりにする「愛し方を知らない親」が、増えています。そうした親のもとで育つ子どもは、問題行動が多く、心を病んでしまうことが多いのも事実です。もはや、子育てが成立し難い時代になっているということです。

現場で常に親子と接する仕事をする保育士や看護師、助産師、そして子育て支援関係者の方々は、このことを実感しているのではないでしょうか。

実際、近年問題となっている思春期の子どもの「うつ」や「解離」「ボーダー」の多くは、もとをたどると、幼児期、さらには、乳児期のころの親子関係の問題にたどり着きます。

最近では心理療法で自分の幼少期にさかのぼって心を癒していく、という方法で現在の問題を解決していくという手法もとられています。

ほとんど意識下にはない、乳児期や幼児期の体験や、親子関係をはじめとする育児環境がその後の人生において重要になってくるのです。

深刻なケースでは、「うつ病」や「ボーダー」「解離」などの心の疾患にまで発展するケースは、もはや珍しくはありません。

そして、問題を難しくしているのは、親自身は「子どもの幸せを願って」やっていることが、子どもを追い詰めてしまっていることです。そして、子どもの心が壊れてしまうまで、そのことには気付かないことです。

ここで問題なのは、子どもを追い詰めることではなく、それに気付かないということなのです。

その原因として非常に大きいのが、アタッチメント形成の欠如であるということは、発達心理学の世界でも、そして、近年の脳科学や精神医学の世界でも、明らかにされてきています。

そして、思春期や大人になってから、心が壊れてしまった場合その治療には時間も労力もかかり、本人にも家族にも負担が大きいものです。

当協会の理事で心療内科医の寺下謙三先生は、こうした状況に対して医者の数、治療の時間が、患者の増加に追いつかない、とおっしゃいます。そして、「心が壊れた子どもを作らない『予防的試み』が必要だ!」と声高におっしゃっておられます。

実際、年齢が若いほど治療がスムーズにいきます。幼少期であれば、母親へのちょっとしたアドバイスで、状況は簡単に好転させることも可能です。この「心の病の予防」におけるカギを、わたしたちは「アタッチメント」に求めました。

冒頭で述べた「親になれない親」や「愛し方を知らない親」といった「親の問題」は、言い換えれば「乳幼児期のアタッチメント形成の問題」と言えます。

それは、親とその親(おじいちゃんやおばあちゃん)とのアタッチメント形成の結果でもありますので、治療的観点からみると世代をまたいだ壮大な話になってしまいますが、予防的観点でみれば、親が子育てを見直すこと、子どもへの接し方を見直すことで、子どもに対する「アタッチメント形成の不具合」は防ぐことが出来ます。

それだけではなく、親が子育てにおいて、わが子とのアタッチメントを見直すことによって、親自身の親子関係をも見直すことにもなります。アタッチメントを学ぶことによって、子育てを学び、愛し方を学び、親になることを学ぶことが出来ます。

その学びは、単なる知識ではありません。実際の子育ての中で実践し、実感した親としての「感情を伴う経験」です。「感情を伴う経験」は、信念となり、次の子育てに繋がってゆきます。

そうすることで、親は、子どもに対して興味と深い愛情を育て、 適切な知識と問題解決能力を身につけます。それによって、自由で個性豊かな子育てを、自信を持って行うことが出来るようになります。

その結果、親は、子育てから学び、子に育てられ、親として人間として成長します。

また、子どもは親に対して、何があっても、どんな自分でも、認めてくれているという「絶対の安心感と信頼感」を育み、健やかにそして創造力豊かに成長します。

これこそが、アタッチメント形成の最大の恩恵です。

私たちは、この「アタッチメント最大の恩恵」を、子育てをするすべての親が享受できる「親教育」こそが必要であると考えます。

そのために「0歳からの子育て」と「乳児期、幼児期のアタッチメント形成」「親から子ども、子どもから親の双方向におけるアタッチメント形成」を指南します。

そして、現実の子育てにおいて、子どもと関わる中で、親自身が身につけておきたい知識や態度、問題解決能力を研究し、海外も含め世界中から情報収集し、 これを体系化して伝授します。この「親教育」の担い手こそが、冒頭で子育ての現状を憂えていた保育士や看護師、助産師、そして子育て支援関係者の方々であると考えております。

私たち、日本アタッチメント育児協会は、アタッチメント(愛着関係)形成のための具体的な取り組みとして、年齢に応じた日常の親子の営みを体系化してメソッド化し『アタッチメント・ベビーマッサージ』『アタッチメント・キッズマッサージ』『アタッチメント・ジム』『アタッチメント・ヨガ』『アタッチメント・食育』『発達あそび』といったプログラムとして提供しています。

さらに、これらのプログラムに、発達心理学とアタッチメント理論における解釈と背景を加え、さらに教室運営の知識とスキルと共にカリキュラム化して、理論と実践の両面を講義とワークショップによって伝授する「インストラクター養成講座」を開発し、各プログラムを親に教えるインストラクターの育成を行っています。

同時に、発達心理学、アタッチメント理論に加え、社会学における家族論や脳科学の見地から育児を捉え、さらに親を教え導くためのスキルとしてカウンセリングや対人援助法までを学んだ「育児の専門家」を『育児セラピスト』として認定し、育児セラピストを育成するための講座『育児セラピスト養成講座』を開催し、全国に育成しています。

育児セラピストがどの地域にも身近にいて、時には親を助け支援して、時には相談相手になり、時には親子教室の先生になり、育児セラピストが「地域の子育てターミナル」として機能する子育て環境を目指します。

それは、画一化した子育て法やメソッドを親に教え込むのではなく、親(保育者)と子どもの個性や性格、気質によって、「100組の100通りの子育て」を応援することです。私たちは、それを目指します。

この(社)日本アタッチメント育児協会の営みは、私の人生のライフワークであると思って取り組んでおります。

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一般社団法人 日本アタッチメント育児協会

代表理事

廣島大三

理事長プロフィール

廣島大三

1970年、愛知県名古屋市生まれ。

大学在学中に渡英。ロンドン大学RHBNC校(Royal Holloway and Bedford New College, University of London)へ留学。児童心理学コース修了。アタッチメント研究家。新生児のための対話読み聞かせ絵本「パパ大豆の白黒赤絵本」作者。自らの経験談から、父親の育児参加を訴えた『ネクタイとっておんぶひも』の著者。

2001年、乳幼児の知育玩具の輸入販売、教育教材の企画販売を手がける株式会社 ハッピーチャイルドを創業。「発達と遊び」をテーマにした講演活動や新聞、雑誌、ラジオ、テレビでも活躍。

2007年 一般社団法人 日本アタッチメント育児協会の設立に、発起人として参画、理事長に就任。育児、保育の現場で役立つ発達心理学とアタッチメントを伝える育児の専門家「育児セラピスト」の育成と資格認定を行い、保育士や助産師、看護士、子育て支援関係者などに広く普及。

一般社団法人 日本アタッチメント育児協会 理事長
株式会社 ハッピーチャイルド 代表取締役社長
一般財団法人 チャイルドTESL教育協会 評議員

『6歳までのアタッチメント育児:子どもを伸ばす愛情の表し方・与え方 8つのメソッド』

『6歳までのアタッチメント育児:子どもを伸ばす愛情の表し方・与え方 8つのメソッド』

著:廣島大三
出版:合同出版

親子の「アタッチメント(=愛着関係)」を育めば、子どもをもっと愛せる、子どもはもっとHAPPY!になる。

親が親として成長し、ストレスがやりがいに変わる!心やさしく、知的好奇心にあふれた、頭のよい子どもが育つ!アタッチメント育児にLet’sトライ!

『感性豊かで幸せな子どもに育つアタッチメント・ベビーマッサージ』

『感性豊かで幸せな子どもに育つアタッチメント・ベビーマッサージ』

著:廣島大三
監修:寺下謙三
出版:保健同人社

赤ちゃんが生まれたらベビーマッサージを始めてみたい、と思っているお母さんは少なくありません。

ベビーマッサージはオイルを使ってお母さんの手で赤ちゃんにマッサージをすることですが、大切なのは、お母さんと赤ちゃんの絆を結ぶことです。

本書では、発達心理学の観点から、お母さんと赤ちゃんのアタッチメント(愛着関係)をしっかりと作り、情緒豊かな「幸せな子ども」に育てるためのベビーマッサージを紹介します。