1. ホーム
  2. 受講生が語る育児セラピスト1級
  3. きっかけは、正しい知識と理論をもって育児をしよう!と思ったこと

きっかけは、正しい知識と理論をもって育児をしよう!と思ったこと

白倉 佳代子(主婦)

ある幼児番組で「子供が悪いときも手をあげてはいけないのですか?」という質問に「手を挙げてはいけない理由は子供より大人にあるんですよ。人間は一度手を上げてしまうと、心のタガが外れ、手を上げる事に抵抗がなくなり、少しずつエスカレートしてしまう傾向にあるんです」と答えている方がいらっしゃいました。まさに目から鱗で納得の情報でした。このことをきっかけに、様々な情報を得て、正しい知識をみにつけ、きちんと理論づけて(理屈を知って)いる方がより楽しく・スムーズに育児が出来るようになるのではないかと思うようになりました。

娘のイヤイヤ期とともに、心のバランスを崩してしまった時期

現在1歳の息子と3歳の娘の母として、育児真っ只中にいる専業主婦の私は、つい最近まで心のバランスを崩している状態が続いていました。

赤ちゃんと2歳児を連れて外に出るのも大変で、外出が億劫になり、家では口が達者になってきた娘と喧嘩の日々。『いやいや期』特有のわがままとわかっていても、つい手をあげ、その時は「言う事を聞かない娘が悪い」と自分を正当化するも後から後悔し、眠っている娘の顔を見ては涙があふれ、いとおしく思っているのに怒鳴ってしまう自分に腹が立ちました。主人に「今日、つい叩いちゃったよ」と言っても「最近わがままになってきたから仕方ないよ。いいんじゃない」と気をつかってか私の行動に理解を示すような言葉。本当は私の行動をとめてほしかったのですが、本質に触れぬまま会話は終了し、結局一人追い詰められ限界が来ていたのかも知れません。

虐待してしまう母親の気持ちが少なからず理解できると思うほど、心身ともに病んでそのストレスから、子供の泣き声や、ぐずる声を聞くだけで腹痛をおこし動けなくなり、私自身の体調も崩してしまいました。

フォローしてくれる人はいたけれど、本当の自分を出せなかった

こんな負のスパイラルに陥ってしまった私ですが、決してフォローが無かったわけではありません。主人の母はすぐ近くに住んでいるので週に2回は遊びに来ていましたし、主人も子供をお風呂に入れたり休みの日は積極的に遊んでくれたり。実家の母とも毎日のように電話をし、姉は私の体調の変化や言葉遣いが悪くなった事を気にかけ、月に何度か様子を見に来てくれていました。近所のママ友ともいろいろな会話をすることで「みんな一緒だよ」というメッセージを貰い、少し安心する事もありました。このように考えると比較的恵まれた環境にあったといえます。

娘は内弁慶なので外では大人しく、いろいろな方に褒められることが多く、子供が褒められると嬉しいので、私もつい子育てを楽しんでいる良い母親・良い家庭であるかのような振る舞いをし、自分の中にある不安を、深刻なものとして誰かに打ち明けたり、SOSを出す事がなかなか出来ませんでした。

自ら実感した、いまのお母さんの誰もが抱える育児の問題

こうしてフォローしてくれる人々がいたにもかかわらず、本当の姿を見せられないままに負の方向へ向かい、暗く闇のような生活は娘のいやいや期とともに半年以上続いたのです。でも本当の気持ちは誰かに「大丈夫?このままじゃ危険だよ」と気付いてほしかったのだと思います。

これがまさに私が思う現在の育児・育児環境の問題であると思います。明らかなネグレクトではない人も実は問題で、育児に悩み、理性との狭間で様々な葛藤を抱えているのではないでしょうか。外から見ると子育てを楽しんでいるように見えたり、悩み無く見えたり、子育てに一定の評価をされてしまうと、本当の状況はよりわかりにくくなります。本人もSOSを出す事に抵抗を感じてしまうのではないかと思う事があります。虐待予備軍というと恐ろしいですが、人間誰しもが心に弱い部分を持っています。だからこそ育児の専門家が必要で、心の調律をして少しでも早い段階で何かしらの手を打つ。子供と母親自身を守る為にも母親(養育者)の心のケアが必要だと思います。

自分を見つけるためにチャレンジした育児セラピストの門だったけど、今は、同じように苦しむお母さんを支援したい

私はあのころの自分は病気(心の)だったと思っています。でも「お医者さんに相談する」というのは少々敷居が高いというか、そこまでする気持ちは全くありませんでした。自分は母親失格と認めるような行為も嫌でしたし、格好つけていたかった部分もあるのだと思います。

「毎日笑顔で生活し、わが子と良好な関係を築いていたい」というとてもシンプルで、どちらかというと自分のことを知る為にという理由で育児セラピストの門をたたきました。でも今は自分だけでなく多くの人を支え、役にたちたいという気持ちが溢れています。そのために専門知識を身に付け、子供の行動の意味を理解し、その心を母親(養育者)に伝えられたら。パイプ役というセラピストだからこそ出来ることがあると確信しています。子供にとっても、母にとっても大切で貴重な短い時期を無駄にしてしまわぬよう、親子で成長していける手助け(心のサポート)をしたいと思います。

自分は、ほんの些細な言葉かけやサポートに救われた。そういうことをしてあげられる育児セラピストになりたい

最後に私が闇から出られたのは、下の子が10ヶ月の時に初めて1人っきりで過ごしていいと主人が時間をくれた事でした。それまで子供が生まれてから一度も離れた事がなく、どちらか1人は必ず一緒でした。子供と一切かかわらない時間をもらう。ただそれだけで不思議と心が晴れ前向きにチャレンジしていける力がわいてきたのです。

本当に些細な事でもその人にとって大きく状況が改善する事があるのです。なにがきっかけになるかは、やはり実際話して、聞いて相手の心を知らないと一般論ではアドバイスにも改善にも繋がりにくいと思います。

「To love been your best!」(ベストを尽くす自分を愛そう) 一生懸命頑張っている自分をしっかり自分が褒めてあげられる人になって欲しい。子供と母親(養育者)の多くの笑顔ためにセラピストとして活動できる日が来るよう取り組んでいきたいと思います。

育児セラピスト1級(後期課程)一覧へもどる >>