Column
ベビーマッサージ資格に関する2つの誤解
ブームによって多くの団体がベビーマッサージ資格を発行するようになり、どこで資格を取得するべきかを選ぶのが難しくなりました。
また、Yahoo!知恵袋や教えて!gooなどの質問系サイトでは、ベビーマッサージ資格に関する様々な質問が見られるようになりました。
しかし、中には事実とは異なる内容や、法律を曲解したような回答がベストアンサーとして選ばれていることも少なくありません。
ここでは、ベビーマッサージ資格に関してよく聞かれる、
- ・ベビーマッサージ資格は民間資格なので価値がない
- ・ベビーマッサージ教室は違法なのではないか?
という2つの誤解についてお答えいたします。
1:国家資格ではないベビーマッサージ資格には価値がない?
ベビーマッサージ資格は、NPO(特定非営利活動法人)や社団法人が発行する民間資格であり、国家資格ではないので価値はないという主張を見かけることがあります。
たしかに、ベビーマッサージのやり方をただお母さんに教えるだけであれば資格は必要ありません。
今日から「ベビーマッサージインストラクターです」と宣言をし、名刺を作り、チラシを配って活動を始めても誰にも罰せられることはありません。
では、視点を変えて考えてみてください。
もし、あなたが乳幼児のお母さんで、自分の子どもにベビーマッサージをしてあげるために近所のベビーマッサージ教室を探しているとします。
近所には2つのベビーマッサージ教室があり、
1つは、〇〇協会認定のベビーマッサージ資格を取得したインストラクターが先生をしている教室
もう1つは、資格を持たず、自分の子育て経験を生かして先生をしている教室です。
さて、あなたはどちらを選びますか?
確かに、どこの資格を取っているかだけでは判断することはできないかも知れません。
しかし、どこの協会の資格を取得したのかを知ることができれば、その団体がベビーマッサージのどのような部分に重きをおいているのか、ちゃんとした団体なのか、なにか問題を起こしたことはないのかということを自分で調べ、判断することができます。
資格をとっていないと、その人がどのような人で、本当に正しいベビーマッサージを教えてくれるのかなどを調べるのは難しく、候補にすら入らないということも十分に考えられるのです。
インストラクターの視点に戻すと、資格を取得したことを掲げることで、お母さんたちに安心感をもって教室を選んでもらうことができます。
また、児童館や公民館、地域の子育て広場などの公の施設がベビーマッサージの講師を依頼する際には、信用できる講師であるかの確認のため、主催者から資格の提示を求められることが多いようです。
資格は、あなたがベビーマッサージに関する一定以上の知識とスキルを持っていることを証明するだけでなく、どのような団体で、どのようなベビーマッサージを学んだのかということを証明するものでもあります。
自信をもって「私はこの団体で資格を取得しました!」と言えるようなベビーマッサージ資格を選んでください。
民間資格を選ぶ際のもうひとつのポイント
民間の資格を取得する上で、もうひとつの大事な基準があります。それは、資格を認定し発行する団体の永続性です。
一口に「団体」と言っても、非法人である任意団体から、会社法人(株式会社)、非営利活動法人(NPO)、社団法人、財団法人など様々です。
せっかく資格を取得しても、その発行団体がなくなってしまえば、資格の社会的有効性はなくなってしまいます。
団体の永続性を見極めるには、その団体の組織体系や、どんな社会的信頼があるのか、何を理念として活動をしているのかなどを、ホームページや資料から読み解く必要があります。
発起人は誰なのか、どんな賛同者がいるのか、どんな歴史を歩んできたのかなどの視点で、あなた自身がその団体をしっかりと審査することが重要です。
少なくとも、団体の所在地が明記されていること、代表者の名前や経歴が明確にされていること、設立趣旨や理念が明記されていることは必ず確認し、これらを曖昧にしている団体では資格取得は控えたほうがよいでしょう。
2:ベビーマッサージ教室は違法なの?
「ベビーマッサージ教室は違法なのでは?」という声は未だに多く聞かれます。
これは、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律で定められている、国家資格「あん摩マッサージ指圧師」に関する以下の規定が、本来適用範囲ではないはずのベビーマッサージに当てはめて解釈をされていることに起因しています。
第一条 医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許を受けなければならない。
『あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律』より抜粋
つまり、国家資格である「あん摩マッサージ指圧師」の資格をもたない者がマッサージをすることは違法であるという法律です。
しかし、ベビーマッサージというのは、お母さんが赤ちゃんに行うものであり、インストラクターが直接施術するものではありません。
また、ベビーマッサージ資格を持つインストラクターの役割は、お母さんが自分の子どもにベビーマッサージをするための方法を教え導くことです。
ですから、ベビーマッサージインストラクターは、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律に関連する業務には当たりません。
質問系サイトでは、ベビーマッサージ資格を取得しようとする人の不安を煽るような過剰な解釈が、質問の答えとして書かれているのを見かけますが、前述の通り、ベビーマッサージインストラクターとして教室をひらくことはなにも問題ありません。
ベビーマッサージの資格取得をご検討中の方へ
近年、様々なベビーマッサージ資格が生まれ、どこで資格取得すればよいのかを選ぶのは非常に難しくなりました。
また、いざ調べようとインターネットで検索をしてみると、「資格なんかいらない」「ベビーマッサージ教室は違法だ」といった意見もみられ、せっかく資格を取得しようと思った気持ちが萎縮してしまうこともあるかもしれません。
しかし、ベビーマッサージを介して、様々なお母さんや赤ちゃんと触れ合うという営みは、なかなか他のものでは代えがたい経験です。
当協会のインストラクターのみなさんも様々な形でベビーマッサージを取り入れ、みなさま生き生きと活動されています。
資格を本当に価値あるものにできるかどうかは、資格取得後のあなたの行動で決まります。資格取得は、そのスタートを少しだけ後押しするものでしかありません。
少しでもベビーマッサージ資格に興味をもった方は、まずは色々な団体で資料請求をしたり、問い合わせをしてみたりして、自分自身で「本当に資格を活かすことができるか」を判断してみてくださいね。
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