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ベビーマッサージ資格発行団体の選び方

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近年、ママタレントの資格取得をきっかけに、ベビーマッサージはブームを迎えています。

その一方で、ベビーマッサージの資格認定を謳う団体や協会が濫立し、どこで資格を取得すればいいのか判断できない状況になっているのも事実です。

このページでは、「どこで資格を取得すればいいの?」と迷われている方に向けて、資格取得の目的別、資格講座のタイプ別に、資格発行団体の選び方をご紹介いたします。

このページでご紹介する内容は、日本アタッチメント育児協会という、資格発行団体の立場から述べたものですが、当協会で資格取得をしていただくことを目的としたものではありません。

このページの内容が少しでもみなさまの資格取得の際の参考となり、正しいベビーマッサージが、正しい形で広まっていくお手伝いができましたら幸いです。

資格発行団体を選ぶ前に
あなたはなぜ、ベビーマッサージ資格を取得しますか?

「なぜ、ベビーマッサージ資格を取得するのか」を考えることは、資格発行団体を選ぶうえで非常に重要となります。

なぜなら、資格取得の目的や動機を明確にすることで、あなたが選ぶべき団体と、選ぶべきでない団体をしっかりと判断することができるからです。

特に、ベビーマッサージがブームとなっている現在では、「なんとなくベビーマッサージがいいと聞いたから」「ベビーマッサージ教室を開けたら楽しそう」というように、動機がはっきりしないまま資格の取得を考えている方が多く見られます。

もちろん、最初のきっかけとして、ベビーマッサージの良さや、教室を開くことを目標とすることは決して悪いことではなく、「ベビーマッサージが赤ちゃんにとって良い」ことも、「ベビーマッサージ教室でたくさんの赤ちゃんやお母さんと触れ合うことが楽しい」ことも事実です。

しかし、いざ資格を取得しようという段階で、目的がはっきりしないまま資格発行団体を選んでしまうと、わかりやすく、魅力的な言葉につい惹かれてしまうという危うさがあります。

ベビーマッサージ資格を発行している団体のホームページで見られる「おうち開業で夢を実現しましょう」「ベビーマッサージで絆を深めましょう」「ベビーマッサージをお仕事にしましょう」といった言葉は、それ自体はとても魅力的な言葉です。

しかし、本当に注目していただきたいのはその言葉の根拠はどこにあるのかということです。

たとえば、「おうち開業で夢を実現する」ためにどのようなカリキュラムや制度が整っているのか、「絆を深めるベビーマッサージ」は何を根拠に「絆を深める」と謳っているのか、「ベビーマッサージを仕事にする」とは、具体的にどのくらいの収入を想定し、そしてそれを実現するだけの学び、仕組みがあるのか、などがきちんと説明されているかを見ておく必要があります。

資格発行団体の中には、魅力的な言葉ばかりを散りばめ、その根拠となるものをまったく説明していない団体も存在します。

ですから、あなたがなぜ資格を取得するのかということをしっかりと考え、それを実現するだけの根拠を持ったプログラムを提供してくれるのかということを見極める必要があるのです。

資格をどのように活用したいですか?
資格取得の目的を考えましょう

ベビーマッサージの資格取得の動機や目的の代表的なものとして、以下の3つが挙げられます。

  • 1:ベビーマッサージ教室を運営して収入を得たい
  • 2:自分の子どもにベビーマッサージをしてあげたい
  • 3:子育てに悩むお母さんたちの力になりたい

それぞれの目的を達成するためにかならず押さえておきたいポイントをひとつずつ解説したいと思います。

1:ベビーマッサージ教室を運営して収入を得たい

ベビーマッサージ教室を開いて収入を得たいと考える方は非常に多いかと思います。なかには、ベビーマッサージで生計を立ていきたいと考えておられる方もいらっしゃるかもしれません。

注意していただきたいのは、お小遣い程度の収入や、ボランティアとして続けていけるだけの収入を得るのと、生計を立てていくための収入を得るのとでは、その難易度は大きく違うということです。

実際にベビーマッサージ教室を運営し、生計を立てられるだけの収入を得るとなると、ベビーマッサージの知識とは別に、経営や集客、マーケティングなどの知識が必須となります。

また、現在ではブームの影響もあり、ベビーマッサージ教室が地域のあちらこちらで見られるようになりました。

その中で地域のお母さんたちを集め、仕事として確立するだけの収益を上げるのは大変難しく、実際にベビーマッサージ教室だけでまとまった収入を得ている方は非常に少ないのが現状で、ベビーマッサージに付加価値(育児相談、ベビーヨガ、リトミックなど)をつけて複合的に教室運営されていることが多いようです。

ベビーマッサージ教室で収入を得たいと考えている方は、ベビーマッサージに関する知識だけでなく、ホームページの作り方や活用方法、集客に関する知識などを学ぶことのできるカリキュラムや、ベビーマッサージの次にできる取り組みを提供している団体などを選ぶと良いでしょう。

2:自分の子どもにベビーマッサージをしてあげたい

ベビーマッサージがブームを迎え、ベビーマッサージが赤ちゃんにとって良い影響を与えることは、お母さんたちの間でもはや常識となりました。

しかし、ベビーマッサージが赤ちゃんに良い影響を与えることを知っていても、実際にどのようにやってあげたら良いのか、間違った方法でやってしまわないかと心配で、なかなか実際にできていないというお母さんも多いのではないでしょうか。

このような背景から、自分のお子さんにとって「本当に良いベビーマッサージ」を学ぶために、資格を取得しようと考える方も多くいらっしゃいます。

赤ちゃんにとって本当に良いベビーマッサージを学べるかというのは、各団体が「ベビーマッサージ」という行為をどのように捉えているかで判断することができます。

ベビーマッサージというのはもともと、世界各国で自然に行われていたお母さんと赤ちゃんの肌と肌の触れあい(スキンシップ)でした。

それが学者によって、健やかな子育ての鍵として研究され、さまざまな形でメソッド化されたのが現在のベビーマッサージなのです。

ですから、本来の役割に立ち返ると、ベビーマッサージにおいて一番重要なのは、どこをどのようにマッサージするかではなく、肌と肌のふれあいで心を通じ合わせることなのです。

ですから、ベビーマッサージのやり方を学ぶだけであれば、ベビーマッサージのやり方が書かれた本を読めば十分なのです。

しかし、前述のような学術的な背景を知ることは、実際にベビーマッサージをするお母さんにとって大きな自信となりますし、安心してお子さんにベビーマッサージをしてあげることができます。

また、自覚のないまま間違ったベビーマッサージをしてしまっていたということも防ぐことができるのです。

それだけでなく、きちんとした背景に基づくベビーマッサージを学んでいれば、自分のお子さんにしてあげたベビーマッサージを、その後まわりのお母さんたちに伝えていくといった資格活用もできますので、ベビーマッサージ資格を取得することは、自分のお子さんのためであっても、十分に価値があると言えます。

ですから、自分のお子さんに「本当に良いベビーマッサージ」をしてあげるために資格取得を考えている方は、ベビーマッサージの本来の目的をしっかりと謳っている団体を選ぶと良いでしょう。

3:子育てに悩むお母さんたちの力になりたい

子育てに対する不安や、慌ただしく移り変わる赤ちゃんとの関係性の中で悩んでいるお母さんたちはたくさんいらっしゃいます。

そんなお母さんたちの声を聞き、その不安を少しでも和らげるための取り組みの接点として、多くの保育園や幼稚園、病院、子育て支援センターなどでベビーマッサージが取り入れられています。

このような背景から、保育士さん、看護師さん、助産師さんといった専門職の方が、ベビーマッサージをより深く学び、子育てに悩むお母さんに適切な知識をもってベビーマッサージを教えるために資格を取得するというケースが増えてきています。

専門職の方が「育児の専門家」としてお母さんたちを導くためには、ベビーマッサージの学術的な背景を知るだけでなく、お母さんを癒し、導く存在(セラピスト)としての技術や知識が必要となります。

ですから、専門職の方が資格発行団体を選ぶ場合には、ベビーマッサージの手技だけでなく、お母さんたちを癒し、導くための知識や技術を学ぶことのできるカリキュラムが取り入れられているかを確認すると良いでしょう。

それでは、お母さんたちを癒し、導くためのカリキュラムとは、具体的にどんなものなのでしょうか。

お母さんを導くためには、お母さんの気持ちを理解し、適切なアドバイスをするため知識が必要です。

また、セラピー(心療)スキル、カウンセリングスキル、対人援助法のスキルなどの、育児に疲れたお母さんを癒し、心のバランスを整えるスキルが必須となります。

このようなスキルの背景にあるのが、心理学に関する研究です。

ですから、ベビーマッサージを子育てに悩むお母さんたちの力になるためのきっかけとして学びたい、保育士さん、看護師さん、助産師さんは、心理学をカリキュラムに取り入れている団体を選ぶとよいでしょう。

ベビーマッサージ資格認定講座の種類と選び方

ここからは、ベビーマッサージ資格が取得できる講座の種類と、それぞれの特徴をご紹介いたします。

ベビーマッサージ資格が取得できる講座の形式は、各団体によって大きく次の3つに分類することができます。

  • 1:DVDやテキストによる通信講座
  • 2:団体の指定する学校に一定期間通うスクール型講座
  • 3:短期集中型の資格取得講座

それでは、それぞれの講座の特徴をご紹介いたします。

1:DVDやテキストによる通信講座

通信講座は、通学の必要がなく自宅学習のみで資格が取得できるため、お子さんを誰にも預けることができない、仕事が忙しく時間を作ることができないという方に人気のある講座です。

しかし、注意が必要なのは、通信講座の多くがDVDやテキストが一度に送られてきて、「自分のペースで勉強を進めてくださいね」という形式のため、必要な知識を身につけ、ベビーマッサージ教室を開き、実際にお母さんたちに教えるまでには、高いモチベーションの維持が不可欠となります。

テキストが送られてきて、期日までの課題をこなし、それを郵送して・・・という通信教材は、ベビーマッサージに限らず様々な分野で見られますが、誰にも促されることなく、自分で目標とスケジュールを立て、課題をこなしていくというのは、誰にでもできることではないのかもしれません。

また、実際に生身の講師から教わる機会のない団体もありますので、勉強をしながら感じた疑問などをその場で質問することができないなどのデメリットもあります。

とはいえ、通信講座は、他の形式の講座に比べ受講料も安く、手軽に始めることができるという利点もありますので、自分の子どものためにとにかく手軽に始めてみたい、通信教材で他の資格も取得したことがあり通信講座が自分に合っているという方は、まずは入門として通信講座でベビーマッサージの資格取得にチャレンジしてみるのもよいでしょう。

2:団体の指定する学校に一定期間通学するスクール型講座

スクール型は、各団体の指定する学校(認定校)に通学し資格を取得する形式の講座です。

授業の日時も比較的自由に選択することができ、自分のペースでゆっくりと学ぶことができるので、空き時間を有効に活用したい専業主婦や学生に人気の講座形式です。

各団体の指定する学校に、週に1回程度のペースで通学し、約1ヶ月から2ヶ月ほどで資格取得となる団体が多いようです。

授業の開催日が記載された日程表から、自由に日時を選択して通学するという形式は、自動車学校の授業をイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。

スクール型を選ぶ際に注意していただきたいのは、授業を行う講師の質が保たれているかということです。

スクール型の場合、教室となる会場は、資格発行団体とは別の団体が運営していることが多く、講師も専任ではなく、会場を運営する団体に所属する講師が他の講座の講師を兼ねて授業を行っていることがあります。

自由な日程を選んで授業を受けることができるというメリットはありますが、その分、ベビーマッサージのためだけの専任講師を常駐させることが難しいため、講師によって授業の質に差が出てしまったり、同じ講師から一貫して学ぶことができないといったこともありますので、受講を検討する際はどのような体制で講師が配属されているかなどを確認するとよいでしょう。

スクール型の最大の特徴は、時間をかけてゆっくりと学ぶことができることです。時間に余裕があり、ゆっくりと時間をかけて学びたい方はスクール型を選ぶと良いでしょう。

3:短期集中型の資格取得講座

短期集中型の講座は、短期間(1日から2日間)で資格取得に必要な知識を学ぶことができるため、保育士さん、看護師さん、助産師さんといった、なかなか休みを取ることができない専門職の方に人気の講座形式です。

このような短期集中型の講座のポイントとなるのが次の2点です。

  • 1:本当に2日間で必要十分な知識、スキルを習得できるのか
  • 2:受講後にも疑問点などを質問できる体制が整っているか

それぞれのポイントを解説していきます。

【ポイント1】本当に2日間で必要十分な知識、スキルを習得できるのか

2日間という短い期間で、本当に資格を活かすだけの知識が身につくのかと疑問に思われる方は多くいらっしゃるのですが、ベビーマッサージ資格に関して言えば、講座の時間数で、習得できる知識の量や質を判断することはできません。

たしかに、単純比較をすれば当然、通学型の講座の方が時間数は多くなります。

しかし、通学型の講座の場合、授業と授業の間には1週間程度の空き時間があるため、それを補填するための復習にも時間が必要となることを念頭に入れておかなくてはいけません。

つまり、単純に時間数で理解度を計ることにはあまり意味はありませんので、限られた時間で効率的に資格を取得したい方は「短期集中型の講座」を、ゆっくりとマイペースに資格取得したい方は「通学型の講座」を選ぶのがよいでしょう。

では、資格を活かすだけの学びや体験を得ることができる団体かどうかは、どのように判断すべきなのでしょうか。

これに関しては、はっきりとした基準はなく、やはり前述の通り、あなたがどのように資格を活用したいのかをしっかりと定めたうえで、それを実現できるだけのカリキュラムについてきちんと説明がされているかどうかを、ホームページや口コミなどを読み、判断するほかありません。

また、団体や協会についての情報がきちんと公開されていないところは避けるべきでしょう。

比較検討をしていると、値段やカリキュラムばかりを見てしまい、つい見逃してしまいがちなのですが、その団体の代表者は誰で、どんな経歴をもつ人物なのか、組織の沿革が公開されているか、その団体の所在地はどこで、本当に存在するのかなどは必ず確認し、そのような情報がそもそも公開されていない団体での受講は避けてください。

【ポイント2】受講後にも疑問点などを質問できる体制が整っているか

受講後にも疑問点などを質問できる体制が整っているかどうかは、短期集中型の資格取得講座を提供している団体を選ぶ際において非常に重要なポイントとなります。

スクール型の場合、講師と直接会う機会が何度かあるため、質問を準備して聞くということができますが、短期集中型の場合、なかなか2日間だけでは疑問点をすべて解消するのは難しいのが実情です。

また、疑問点というのは、いざ「教室を開こう!」という段階や、「実際にお母さんにベビーマッサージを教えてみよう!」といった段階で、具体的な悩みとして出てくるものです。

ですから、受講後に気軽に質問ができるかどうかは、短期集中型の講座を選ぶうえでとても重要な指標となります。

気軽に質問や相談ができるかどうかは、アフターフォローとして各団体が提示しているものだけでなく、資料請求や、受講前に問い合わせの際に、担当者の対応が気持ちの良いものだったか、疑問点をきちんと解決することができたかなどで判断するとよいでしょう。

最後に

ベビーマッサージは、赤ちゃんにとっても、お母さんにとってもかけがえのない営みです。

ベビーマッサージによるスキンシップから、赤ちゃんとお母さんには信頼関係が育まれ、その関係性は形を変えながら子どもの一生に影響を与えます。

だからこそ、ベビーマッサージ資格も正しくあってほしいと願っています。

インターネット上には様々な情報が溢れ、どれが正しく、どれが間違っているのか判断するのは非常に難しい時代となりました。

このページの内容が少しでもみなさまの資格取得の際の参考となり、正しいベビーマッサージが、正しい形で広まっていくお手伝いができましたら幸いです。