Interview

保育所看護師としてのキャリアの後に見つけた地域子育て支援のやりがい

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今回は、大阪府藤井寺市で、20年以上にわたり看護師をして、退職後に地域の子育て支援としてベビーマッサージ教室をはじめた衣笠佐知子さんに話を伺いました。

退職後も、子どもたちと、ずっと関わっていたかった

看護師としてのキャリアのほとんどは、市内の公立保育園の看護師として、園児たちの健康管理などを担当してきました。

2016年に退職したあとも、子どもと関わる仕事から離れたくないと思い、「何かつながっていられるものはないか」と考えてたどり着いたのが、日本アタッチメント育児協会のアタッチメント・ベビーマッサージ講座でした。

園で働いていた時も、本を読んだ知識で、簡単なベビーマッサージはやっていました。しかし、いざ講座を受講して本格的に学んでみて、はじめてベビーマッサージの本質がわかった気がしました。愛着関係を作ることが、いかに大事かを、改めて再発見したのです。1歳になるまでに、どれだけ母子関係を確立させるか。それが、とても勉強になりました。

まずは、自宅でベビーマッサージ教室をはじめてみました

資格を取得してからすぐに、自宅でベビーマッサージ教室をはじめました。最初は、集客に苦労しました。インスタグラムやフェイスブック、ブログなどでPRしましたが、それを見て来ましたっていう人は、正直言って少ないです。 でも、続けているうちに、クチコミで広がった感じです。「お友達も一緒に来たいと言っているんですけど、いいですか?」などと言って、お母さんが、お母さんを連れてきてくれるようになりました。今では、月に2~3回くらいのペースで開いていますが、集客のほとんどがクチコミです。

ベビーマッサージは、1歳になると卒業してしまうので、いまでも集客は大変です

せっかくベビーマッサージ教室に来てくれるようになっても、1歳過ぎると縁が途切れてしまうので、常に集客し続けて新しい生徒さんを呼ぶ努力をしています。結局のところ、集客が一番大変です。

一方で、ほとんどの生徒さんは、リピートしてくれますし、1歳を過ぎても、よちよち歩きするくらいまでは通ってくれる方も多いです。

理事長コメント

衣笠さんの場合、リピートとクチコミでまわっていますので、教室の運営自体は、非常にうまく行っています。しかし、お母さんたちにとって、1歳を過ぎてからも出来るものがないのが、もったいないところです。せっかく縁のあった生徒さんとは、出来るだけ長いお付き合いをすることは、生徒さんの満足を挙げるだけでなく、教室の安定運営につながります。キッズマッサージやアタッチメントジム、あそび発達などのように1歳以降も、発達段階に合わせて取り組めるメニューを持つと、教室がより豊かにまわります。

教室の内容は、保育園看護師だったことを活かしています

1レッスン90分を目安にやっています。ベビーマッサージレッスンだけなら、こんなに長くなくてもいいのですが、私の場合、レッスンのあとに、お母さんのための時間を設けていますので、90分フルに使います。

ここでやることは、いろいろです。長く、保育所で看護師をしていましたので、離乳食の時期に合わせたおやつの紹介や、家にあるものを利用した手作りおもちゃを作ったりなど。あるいは、子どもたちの健康の話、例えば発疹が出るとか、スキンケアの話をしたりとか。それと、子育てでお母さんが行き詰まってることはないかを聞いたり、それについてアドバイスしてあげたりしています。

お母さんたちの悩みというのは、「離乳食を食べなくて困る」とか、「体重が増えない」とか。逆に体重が増えるのをすごく気にする方もいます。それから、皮膚についての悩みも多いです。アトピーの不安や、乾燥肌の子どもが最近増えてきているので、保湿の方法やオイルの使い方なんかを教えたりしています。「お父さんがなかなか育児を助けてくれない」という悩みもよく聞きます。

少人数の自宅レッスンは、よりお母さんの気持ちに寄り添えます

やっぱり、自宅レッスンだと、よりお母さんの気持ちに寄り添えます。そのお母さんが「どんな感じで子育てされているのかな」ということが垣間見えます。

ベビーマッサージのレッスンの中でも、お母さん方は、「こうじゃなかったら、ダメや!」という気持ちが意外と強いんです。情報に踊らされているというか、枠の中でもがいているお母さんが多い。もっと、気楽になれたらいいのになぁと、思うのですが。

そうした気持ちを、私が少しでも解いてあげられたら、と思っています。「枠の外にでても大丈夫だよ」と。少人数だと、言いたいことが、ぽろっと出たりすることは多いです。

私は、大阪八尾市立龍華図書館のイベントでも、年に3回くらいベビーマッサージ教室をするんです。こちらは、人数も多く、はじめての方がほとんどなので、自宅レッスンとは、雰囲気が全く違います。こちらでは、はじめて同士のお母さんが、打ち解けやすい場づくりを心掛けています。

今後は、お母さんたちの悩みを相談できる場としての役割りを整えていきたいです

今後は、コミュニケーションの勉強もして、寄り添う・話を聞くという役割も担っていきたいと考えています。ベビーマッサージ教室を卒業しても、まだ連絡をくださるようなママもいます。そんな方たちに、お茶でも飲みながら「最近どうですか?」なんて気楽に話せる場を作りたいです。お母さんたちが困っていることを聞いてあげて、たまにはアドバイスしたり。お母さんたちは、たいていの場合、話を聞いてもらうだけで満足して、それだけで解決できてしまうことも多いんです。

私は、これを「ピーチクパーチクの時間」と読んでいます。今の自宅教室を、それができる場になるように準備中です。