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看護師さんがベビーマッサージ資格を取る理由とは?

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日本アタッチメント育児協会のベビーマッサージ資格は、看護師さんに多く取得されています。その理由は、アタッチメント(愛着関係)がメインテーマとなっていることと、発達心理学が学べるからでしょう。この傾向は、協会発足当初から変わりません。

看護師による院内ベビーマッサージ教室

わたしたちのもとでベビーマッサージ資格を取った看護師さんの多くは、院内でベビーマッサージ教室を開催します。ベビーマッサージに直接関係がある産科や小児科の看護師さん、あるいは保育園看護師さんなどに限った話ではありません。一般の内科の看護師さんもいらっしゃいます。新人の看護師さんもいれば、看護師長もいます。自分の担当の科とは直接関係なくても、勤める病院でベビーマッサージ教室を開く看護師さんは、意外にも多いです。病院にとっては、大歓迎のはずです。患者さんやその家族との関係性を深めることができて、地域貢献にもなって、プラスはたくさんあっても、マイナスになることは、ひとつもないのですから。

はじめる理由は、お母さんを支援したいから

よくよく話を聞いてみると、多くの看護師さんは、「親支援」や「子育て支援」を志向して、ベビーマッサージ教室を始めます。病院には、たくさんのお母さんが来ます。自分が患者であるお母さん、お子さんやご家族が患者で、その付き添いに来るお母さんなどさまざまな理由で、たくさんのお母さんが病院を訪れます。

「ベビーマッサージ教室をとおして、そうしたお母さんに寄り添い、導くことをしたい」

原動力は、その思い一つだと、看護師さんたちは、口をそろえて言います。実際、わたくしどもの受講生には、「そのためにベビーマッサージ資格を取りに来た」という看護師さんは多いです。

その背景には、看護師さん自身が、親として子育てのなかで不安や葛藤を抱いた経験があって、そんなときに誰かが寄り添ってくれることのありがたさを、誰よりもわかっていることが関係しているようです。実は、看護師さんは、そうしたサポートを得られずに、苦悩しながら子育てをした人が多いからです。

生後から1年が、もっともサポートを必要としている

看護師になる方は、もともと面倒見が良い人が多いです。そういう方は「自分が経験したような子育ての葛藤や、一人で悩む苦悩を、病院に来る目の前のお母さんたちにはしてほしくない」と強く思うのでしょう。「もっともサポートが欲しい」と思うのは、生まれてから1年の時期です。だから、看護師さんは資格を取って、院内でベビーマッサージ教室を開いて、支援の場をつくろうという動機につながるのです。日本アタッチメント育児協会の受講生の中にも、そうした看護師さんが多くいます。

子育てを振り返って、答え合わせがしたかった

看護師さんたちの心の中には、このような思いと同時に、自らの子育てへの振り返りの意味があるのだと気づきます。アタッチメント理論や育児セラピスト2級を学ぶことを通して、「自らの子育ての答え合わせをしている」とおっしゃる方も多くみえます。

看護師さんは、赤ちゃんを産んで、育児休暇の後、早々に仕事復帰される方が多いです。復帰すれば、仕事と子育てダブルで忙しい毎日です。子育てを振り返る余裕などありません。

じつは、ベビーマッサージ教室は、インストラクターである看護師さん自身にとっても、参加するお母さんたちと一緒に、自分の子育てについて振り返り、考える機会になっています。看護師さんたちは、最初からそれを意識しているわけではありません。ベビーマッサージ教室をやっているうちに、そういう側面があったことに気づくのです。

これは、当協会でベビーマッサージ資格を取った看護師さんの活動報告の特徴でもあります。

看護師によるベビーマッサージ教室の実例

看護師さんは、「ベビーマッサージ教室をとおして、自分の子育ても振り返ることができる」ということを無意識的にわかっているのでしょう。つまり、本人が意識している表の動機は「お母さん支援」なのですが、無意識下の裏の動機は「子育てを振り返る」なのです。ここで、ひとつ実例をご紹介いたします。

看護師ママの院内ベビーマッサージ教室、月齢に合わせた月2回の教室運営が人気

看護師の奥成美さん。2018年に「アタッチメント・ベビーマッサージインストラクター」の資格を取得され、コロナ禍の落ち着いた2022年5月より、ご主人の産婦人科クリニックで月2回のベビーマッサージ教室を開かれています。

2023年には「ベビーキッズ・あそび発達」講座を受講し、それ以降は、月齢に合わせてクラスを2つに分けた運営をされているそうです。

ベビーマッサージだけでなく、親子あそびや季節の制作、ハンドメイド衣装での赤ちゃん撮影会、看護師への子育て相談もできると、つねに3か月先まで予約が埋まる人気ぶりです。

そんな奥さんから現在の活動についてご報告をいただきましたので、紹介します。

子育てで感じた挫折感

奥さんがベビーマッサージ教室を始めたきっかけは、ご自身の初めての子育てにさかのぼります。

「いま振り返れば、かなりノイローゼに近い状態だったと思います。カレンダーに毎日数時間ごとの子どもの体温をびっしり記録していました。子どもが生まれるまでは自分の努力で何でも乗り越えることができた、自分の望みは努力すれば叶えられるものだと思って生きてきたのに、子育てはそうはいかない、その絶望感に打ちのめされていました。」

はじめてわが子をかわいいと思えた

そんな奥さんにある転機が訪れます。神戸市内の病院でベビーマッサージ教室に参加することになりました。

お子さんと向き合い、ベビーマッサージを始めると奥さんの気持ちに変化がうまれました。

「そのときに初めて、わが子を『かわいい』と思えました。それまでは、この子をちゃんと育てないといけないと思いすぎていて、そう思えていなかった。そこから子育ての風向きがいい方向へ変わっていきました。」

ベビーマッサージ資格をとって、自分も教室を始めよう

そうしたご自身の経験から「不安や悩みをかかえるお母さんたちの力になりたい」と、2018年に「アタッチメント・ベビーマッサージインストラクター」の資格を取得されました。

「日本アタッチメント育児協会のHPで廣島理事長の書かれた記事を読んで、子育てに対する考えに感銘を受けました。『自分の価値観と一致している』と思えたことが受講の決め手でした。」

その後、2022年5月よりご主人のクリニックで出産されたお母さんを対象に月2回のベビーマッサージ教室を始められました。

お母さんたちには、退院指導の際にベビーマッサージ教室のチラシを渡し、希望者が予約を入れる流れになっています。

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