幼稚園の子育て支援教室と発達支援の相談窓口を担当

幼稚園にパートでご勤務されている川島晶子さん。 園では普段の保育に加え、子育て支援教室(ベビーマッサージ教室や親子教室など)と発達支援の相談窓口を担当されています。 2013年に「アタッチメント・ベビーマッサージ」、翌2014年に「キッズマッサージ/アタッチメント・キッズジム」、2022年に「アタッチメント・発達支援」の資格を取得されました。

そんな川島さんに、現在のご活動についてお伺いしましたので、ご紹介します。

幼稚園の子育て支援教室でベビーマッサージをやりたい

川島さんが、「アタッチメント・ベビーマッサージインストラクター」の資格を取得したのは、園の子育て支援としてベビーマッサージ教室を開くためでした。

「アタッチメントが心に響いたこと、さまざまなスキルアップ講座があり、そのすべての講座においてアタッチメントが軸になっていることが受講の決め手でした。」

8年目となるベビーマッサージ教室

資格取得後、すぐに始めたベビーマッサージ教室は今年で8年目になります。

月に6回ある、子育て支援教室のひとつとして、毎月1回開催しており、3~10組ほどのご参加があるそうです。ふれあい遊びから始め、わらべ歌、発達あそびとすすめ、乳幼児期の発達のお話をしてから、ベビーマッサージに入るといいます。

「マッサージの手順は、講座で学んだ通りに全身を行います。参加者の入れ替わりがあるので、毎月同じ内容でやっています。ベビマ後は、講座で学んだ対話読み聞かせのお話を伝えたりもしています。」

さらに、ベビマ教室の卒業後は、親子教室(1歳児クラス・2歳児クラス)があるので、お子さんの年齢に合わせて順にすすんでいかれる方が多いそうです。

川島さんは、親子教室で運動あそびを取り入れたいと、2014年に「キッズマッサージ/アタッチメント・キッズジム」も受講されています。

「親子教室は、運動遊びとピアノに合わせたリズム遊びを中心に制作や絵の具あそびなどを行っています。長い方だと、ベビマ教室、親子教室を経て入園に至るので、6年間関わらせていただけることが、本当にありがたいことだなと感じています。」

発達が気になる子、Aちゃんとの出会いからアタッチメント発達支援を受講

また、川島さんは、園の発達支援の相談窓口としての役割も担われており、日替わりで各クラスの保育に入り、担任の困り感を聞きながら保護者との仲立ちをしたり、市の相談へとつなげたりしてきました。

そんななか、今年(2022年)、入園してきたAちゃんのことが川島さんは気になっていました。

動き回わりが激しく、止めるとひっかく、かみつくといった行動があり、先生たちも対応に戸惑ってしまう場面がありました。

「Aちゃんとは入園前の子育て支援教室から関わってきましたが、当時から言葉の遅れやかみつきなど発達が気になる点がいくつかありました。そこで、これまでとはちょっと違う角度からAちゃんを見られるようになれば新しい関わり方ができるかと思い、『アタッチメント・発達支援』講座を受講しました。」

年齢や月齢ではなくアタッチメントの段階をみる

受講してみて「さまざまな姿の子どもたちの年齢にとらわれず、アタッチメントの段階をみる」ということが印象的だったといいます。

「Aちゃんとふれあいあそびや追いかけっこをしてみたら、驚くほど喜びました。いまはこの段階だから、先生たち皆でスキンシップを心がけていこうと話し合い、かかわり方を共有することができました。」

さらに、衝動性があり、動き回る子は、「アタッチメントは難しいのではないか?」と思っていたそうですが、「触られるのを嫌がる子も、すべて嫌なのではなく、ひざをなでる、タッピング、指マッサージなどいろいろなアプローチを学んで、試せることがわかった」といいます。

「Aちゃんが椅子に何げなく座ったところで、いっぽんばしコチョコチョをすると、すごく喜んで、『いっぽん、いっぽん』とAちゃんからせがむようになりました。ひざにのってゆすられることも好きで、手をつないで歩くこともできるように変わっていきました。」

実践してみて、1カ月半の間にこれだけの変化があり、川島さんはあらためて「アタッチメントの力」を感じたそうです。

午睡をしないAちゃんへの関わり

また、Aちゃんは、午睡せず、どの先生もあきらめていた状況でした。騒ぐため、Aちゃんと別の部屋で遊びながら、その時間をやり過ごしていました。

「受講して、『あきらめずにやること』を学び、やり続けることが大事なのかなと感じ、Aちゃんがお昼寝のときに、逃げ出しても、抱っこして布団に戻り発達支援マッサージを続けていました。」

試行錯誤を繰り返し、Aちゃんの午睡に少しずつ変化の兆しが見えるようになっていきました。

「本当に、ちょっとずつ進んでいった感じですが、結果的に午睡できるようになりました。はじめは、こちらのアプローチが強いと嫌がりましたが、途中からAちゃんの私への信頼を感じる場面が増え、マッサージを続けていていいのかな、と思えるようになっていきました。」

Aちゃんの発達が変化した瞬間

そして、次第にAちゃんからのアタッチメント行動を感じる場面が増えていったといいます。

「まず、自分から話しかけてくれるようになって、自分から手をひっぱって行きたいところに連れて行ってくれるようになりました。先生の名前を呼ばなかったのが、呼ぶようになっていきました。」

そのころから、発達も急激に変わっていったと感じたそうです。

「語彙が急激に増えました。それまでは、言葉がまったくでなかったので、自分の気持ちが言えず、ほかの子にかみつくことがありましたが、語彙が増えたことで、かみつきがなくなりました。先生の言うことも聞き入れなかったのが変わり、クラスの先生とも信頼関係ができました。」

園全体に広がっていった変化の輪

そして、いまでは、川島さんだけでなくどの先生であっても、Aちゃんは午睡するようになったといいます。

「Aちゃんの変化を感じ、他の先生も『自分もやってみよう』『Aちゃんに触れていこう』と、一致団結できて、みんながAちゃんに積極的に関わろうという風になったのが大きかったのかなと思います。」

その一方で、発達支援は、「こうすればいいよ」と人に簡単にアドバイスできるものではないと思っている、と川島さんはお話しています。

「お子さんそれぞれで支援の方法や配慮も違います。同じ方法でどの子もうまくいく訳ではなく、日々模索しながらですが、アタッチメントは保育者自身の支えにもなるとも感じています。」

講座を受講したことで、一番大きかったのは、「保育者(自分)の気持ちの面での変化」だったといいます。

「すぐにうまくいくとも思っていませんでしたが、受講して自分の気持ちが変わっていたのが大きかったと思います。スキルややり方でなく、アタッチメントはどんな子どもの姿にも、通用するたったひとつの方法かなと実感しています。」

川島晶子さん(三重県)
保育士

≪活かしている資格≫
アタッチメント・ベビーマッサージインストラクター
育児セラピスト前期課程(2級)
アタッチメント・キッズマッサージ/ジムインストラクター
アタッチメント・発達支援アドバイザー

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