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コロナ禍生活の「パパの本音」「夫の本音」

長引くコロナ禍のなか、メディアでは「リモートワークになった夫のお世話が負担…」「自粛生活、お互いにストレスで夫婦喧嘩が絶えない…」といったママたち、妻たちの声がクローズアップされることもしばしば。

では、男性側の本音はどうなのでしょうか?

そこで、当協会のメンズ育児セラピストの皆さまに「コロナ禍生活での夫婦関係・子育て・仕事」についてアンケートにてお話をお伺いさせていただきました。

そこから浮かび上がるパパたち、夫たちの本音とは…

※文中の表記は全て2021年2月末時点での内容となります。

本当に判断するのに難しい問題が
増えていると思います

荒木 雄介さん(30歳・会社員)

会社員の荒木さんは奥様と2歳の娘さんの3人家族。奥様も仕事をしており、このコロナ禍でご夫婦ともに在宅勤務になっているそうです。

理想と現実との間で葛藤があるという荒木さん。「理想は娘の前では仕事をしない、仕事を理由に妻の家事、育児負担を増やさないと思いはするものの、現実は中々そうはいかず…」といいます。

ご夫婦ともに在宅勤務のため、奥様には「気を遣わざるを得ないという状況が前提にある」そうで「声や音」など「一緒の空間にいるだけで何かと気を遣います。当然、妻も同じ気持ちかと思いますが、環境的に気を遣わないわけにはいきません。」と荒木さん。実際に奥様と同じ時間帯でリモートワークされる際は、荒木さんが脱衣所やトイレ前で仕事をし、空間を分ける工夫をされています。

一方で、プラス面として「強制的に家にいることが増え、娘と過ごす時間が圧倒的に増えたことは良かった」とおっしゃっています。

長引くコロナ禍に、荒木さんは「例えば、仕事の都合で外出をするかしないかなど、これまでなら当然会社に従うだけでしたが、今は個人に委ねられ、その上で家族の判断も考慮して動かなければならない。極論かもしれませんが、お金を優先するか、家族の安全を優先するかなど、本当に判断するに難しい問題が増えている」と感じるといい、「今では、一人の判断ではなく、より家族で決めていく必要性が増している」と現状を受けとめていらっしゃいます。

人の温もりが
何にも変えがたい幸福感だ

竹安 雄一さん(38歳・小学校教諭)

小学校教諭の竹安さんは、専業主婦の奥様と5歳の娘さん、4歳の息子さんの4人家族。

コロナ禍において、ご家庭では「マイナスな会話を極力避け」、「いつも以上に明るく元気に前向きに毎日を過ごしていた」という竹安さん。

子どもたちには、「コロナ禍だからと我慢させることがなるべくないように」と、「外食が中々できなかったときは、プラレール回転寿司を家でしました。大盛り上がりの食事となりました(笑)」と工夫しながら過ごされていたといいます。

奥様に対しては「日々感謝の思いを伝えていた」そうで、「出会った頃より今の方がより大好きやなーって思っています。」と竹安さん。

奥様は「子どものことをとても大事にしてくれています。それと同じくらい、私のこともとても大事にしてくれています。私にもそれが伝わっています。コロナ禍で、人との距離が叫ばれている中で、人の温もりを感じられるのは何ごとにも変えがたい幸福感だと思った」そうです。

一方、職場では、「『ここまでやる必要あるん?』という疑心暗鬼がとてもしんどかったです。」という竹安さん。「今でも新型コロナよりも考えなくてはいけないことは山ほどあると思っています。」と教育現場でのさまざまな問題とも向き合われています。

家での時間をよりよく過ごす

福井 春助さん(29歳・看護師)

医療関係にお勤めの福井さんは、奥様と1歳6カ月と2カ月の姉妹の4人家族。上のお子さんは歩きまわりたい欲が出てきた時期だそうです。

小さなお子さんが2人いらっしゃる福井さん。かねてより戸建ての購入を検討していたそうです。

コロナ禍となり、家で過ごす時間が増えたため室内でもより広い環境で遊べるようにと、戸建ての購入を決意されました。

そこには、家での時間をより充実して過ごせるようにとの思いがあったそうです。

『人に頼ること』を躊躇する
場面が多くなりました

櫻田 保大さん(31歳・会社員)

櫻田さんは、奥様と双子の男の子(1歳8カ月)の4人家族。 共働きで、ご夫婦ともに在宅勤務中とのことです。

もともと双子のお子さんの子育てゆえの大変さを感じていたという櫻田さんご夫婦。このコロナ禍で「流行初期は育児も仕事もペースをつかめず大変だった」といいます。外出自粛は子どもも大人もフラストレーションがたまり、「子育て世代にとってはしんどい」と感じたといいます。

緊急事態宣言が出ていたころを振り返ると「精神的に少し追い詰められていた」気がしたそうです。ご夫婦間では「お互いイライラして喧嘩が絶えない時期が続き、思うように家事・育児ができなくなる一方で、相手に対する要求が高くなるという悪循環があった」といいます。

また、コロナ禍以前にくらべると「『人に頼ること』を躊躇する場面が多くなりました。」という櫻田さん。「感染を心配して、ベビーシッターさんやファミリーサポートに依頼するのをやめたり、友人に手伝ってほしいというのも言い出しづらくなりました。私と妻の2人で何とかしなくてはいけない、でももしどちらかがコロナに感染したらどうしようという緊張感や不安が大きい」と感じていらっしゃるそうです。

一方で、在宅勤務は「通勤時間がなくなって子どもと過ごす時間が増えた」といい、他にも家事をしたり、昼休みにちょっとした買い物ができたり、ランチ代が節約できるなど、メリットを感じることが多かったそうです。

1年間の育休を通して
育児や家事の大変さを痛感しました

佐伯 侑大さん(30歳・中学校(社会科)教諭【1年間の育休中】)

中学校教諭の佐伯さんは、奥様と1歳6カ月の娘さんの3人家族。
2020年4月より奥様と交代するかたちで、1年間の育児休業を取得中です。

「ちょうどコロナが蔓延し出した2020年の4月に、私のワンオペ育休が始まりました。」と佐伯さん。現在は、奥様に代わり、家事・育児をお一人で担っていらっしゃいます。「平日は娘と一緒に朝から公園へ出かけたり、親子スイミングに行ったりして、親子共々、心身のリフレッシュをしている」そうで、専業主夫として、家事に育児にと奮闘される日々。

育休当初は、コロナ禍もあり「家から出られず、不慣れな家事・育児に奔走」し、そのあまりの過酷さゆえか「原因不明の嘔吐が続いた」時期があったといいます。「誰にも会えず、悩みや苦労を共有することもできずに、苦しんでいた記憶しかありません。」という佐伯さん。

長引くコロナ禍で、これまで当たり前だったことがそうではなくなり「私は私で家事・育児のストレスが、妻は妻で仕事のストレスが蓄積していた」といいます。それによって「些細な事や何気ない一言で夫婦げんかをしていたように思います。」と佐伯さん。

ただ、佐伯さんのこの1年間の育休経験により「(夫婦で)互いに家事・育児のストレス、仕事のストレスを共感的に理解し合える」関係ができたといい、それが夫婦の強みになっているといいます。

さらに「この1年、たくさん夫婦げんかをしましたが、その分、絆も深まっていることは間違いありません」と感じていらっしゃるそうです。

1週間の帰省で
お互いにリフレッシュ

前田 智宏さん(32歳・会社員)

前田さんは奥様と1歳の息子さんの3人家族。気象予報士で、
テレビやラジオのお天気キャスターとして活躍されています。

「毎日、都市部へ電車で通勤しているので、ウィルスを家庭に持って帰らないようにということに非常に気をつかう」という前田さん。

「帰ったらまずは洗面所と風呂場に直行。手洗いうがいに加えて、先に風呂に入って全身を洗い終わってから、初めて子どもと触れ合う」「よく触るスマートフォンも毎日アルコール除菌」「一度着た服もすべて洗濯することにしている」と感染予防対策を徹底。

そんなコロナ禍での初めての子育て。奥様の実家は遠方で、手助けを受けられなかったこともあり、奥様の疲労とストレスが限界に達したことがあったといいます。

「ついついキツく当たってしまうのが嫌だから、私にしばらく実家に帰ることはできないかと提案されました。私の実家は比較的近かったので、1週間ほど帰省し別々の生活を送ることにしました。」

結果的に「夫婦ともにリフレッシュになり、その一件からはお互いに、より気遣いあえる関係になった気がする」とおっしゃっています。

生活上のストレスをできるだけ無くす

藤岡 拓登さん(28歳・作業療法士)

作業療法士の藤岡さんは、現在妊娠中の奥様と2人暮らし。
コロナ禍になる以前に田舎へお引っ越しされたそうです。

もともと夫婦ともに家で過ごす時間は長い方だといい、夫婦で一緒に散歩に出かけたり、料理をしたりする時間を大切にしているそうです。

「僕は妻と結婚してから『生活上のストレスをできるだけ無くす』という考えを一番大切にしています。」と藤岡さん。そうしたお考えのもと「田舎へ引っ越した」そうです。

「人や車の多いところへ行く機会も激減し、環境面でのストレスもほぼないです。現在、妻は妊娠中であるため新型コロナに限らず体調面には一層気をつけています。」と藤岡さん。

「働き方や暮らす場所を自分に合ったものへ変えることで悪いストレスは無くすことができると考えています。自分のいる環境を自分自身で選び、変化していくことで改善できることもあるかもしれません。」と感じているそうです。

総評

今回は、コロナ禍のパパの声をお届けしました。話を聞いたのは、みなさん育児セラピスト1級(後期課程)まで取得された“育児にモチベーションの高いパパ”たちです。子どもの発達だけでなく、夫婦関係やコミュニケーションについても学ばれているだけあって、みなさんコロナ禍を冷静に受け止め、問題を抽出して、対応されているという印象でした。

皆さんに共通していたキーワードは、「あたりまえの崩壊」ではないでしょうか。これまで“あたりまえ”だったことは、コロナ禍を境に一転しました。あたりまえに仕事をしてきたこと、あたりまえにお願いしてきたベビーシッターやファミリーサポート、妻が、夫があたりまえにしてくれていた家事・育児、あるいは仕事、あたりまえだと思っていた人との距離感や温もりを実感する機会、あたりまえに外で思いっきり遊んでいた毎日…。それらが失われたことで生じた、思いもよらなかった不都合や問題のかずかず。

パパたちは、それぞれの問題を赤裸々に開示してくれました。それらを客観的に受け止めたうえで、乗り越える方針や展望を提示してくれました。コロナ禍の話は、暗く重くつらいものになりがちです。しかし7人のパパたちの話は、どれも“希望”がありました。“夫婦や家族の一体感”がありました。これこそ、コロナ禍だろうと失ってはいけない“あたりまえ”ではないでしょうか。

(社)日本アタッチメント育児協会 理事長 廣島 大三

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