スタッフの呟き【その60】

「あ、これはダックスがお父さんだ」。

犬の「桃子」を動物病院に連れて行った洋子さんに、
獣医さんが嬉しそうに言ったのは、そんな言葉でした。

洋子さんは、絵本「100万回生きたねこ」の作者としても有名な佐野洋子さん。

桃子は佐野家にもらわれてきた犬で、柴犬とダックスフントの雑種です。
そのため胴体から上は立派な柴犬なのに、
脚を見るとびっくりするぐらい短くて、いつもみんなに笑われてばかり。

そんな桃子の脚の短さを恥ずかしく思っていた洋子さんたちでしたが、
やがてある変化が訪れます。その変化とは…

NHK:ヨーコさんの“言葉”より引用

短足犬の桃子と長い時間を過ごすうち、
いつしか佐野家の人々は、街で見かける普通の犬の長い脚を、
無様で犬らしくないと感じるようになってしまったのです。

「愛は身近にいるものをいつくしむところから生まれて、
それは実に不公平なえこひいきで、美意識すら変えるものなのだ」。
そんな言葉でこのエッセイは締めくくられています。

人間の場合でも、「違いを受け入れる」とか「他と比べない」って、
言葉で言うほど簡単なことではありません。
でも、相手や自分のちょっと足りない部分に対しても、
愛情を持って受け入れられる、そんな風に生きられたら素敵だなと思います。

この桃子のお話は、『ヨーコさんの“言葉”』という本に収められています。
関心を持たれた方は、ぜひ読んでみてくださいね。
以上、スタッフの海野でした!

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