第7回育児セラピスト全国大会2016「あそびをまなぶ」

アタッチメント教室部門:加藤 響子さん

「起業としてのベビーマッサージ教室を実現したママの成功物語」

3歳の娘さんの子育てをする現役ママの加藤さんは、起業という形でベビーマッサージ教室を経営する経営者です。これまでも、イチからベビーマッサージ教室を立ち上げて、軌道に乗せているインストラクターの事例はたくさんありました。加藤さんの事例は、そうした事例の中で、起業としてのベビーマッサージ教室に成功した事例と言えます。

「自分はどんな子育てがしたいのか?」その答えを探すために受講を決意

加藤さんがベビーマッサージ インストラクター資格を取得した動機は、ご自身の子育てでした。「我が子とどう向き合っていきたいか。」この問いに対する答えを探すことが最初の動機でした。同時に、加藤さんは、自分自身だけでなく「同じ気持ちを抱えるママ達に伝えたい。」そう思ったそうです。そして「たくさん笑顔になって育児を楽しんでほしい。」という思いに至ったそうです。ここまでは、多くのインストラクターと同じなのですが、ここからの行動が、加藤さんの起業家らしいところです。

起業の動機は「働く母の背中を、子どもに見せたい」という思い

教室を始めるにあたり、加藤さんはこの事業専用の空間として、アパートを1室借りることにしたのです。これは、なかなか覚悟のいる決断だったことと思います。家賃は、売上に関係なく毎月必ずかかってきますから、売上を上げ続ける覚悟が必要なわけです。

加藤さん3

加藤さんが、ここまで本格的な事業としてベビーマッサージ教室に取り組んだ背景には、お子さんに「働くママの背中を見せたい」というのがあったそうです。そして「働くことは楽しいことなんだよ」というメッセージを、お子さんに伝えたかったそうです。

ビジネスの王道「集客とリピート」を実践

さてここからは、いよいよ加藤さんのベビマ教室が上手くいっている要因を見ていきましょう。私が発表をお聞きしていて最も感心したのは、加藤さんの事業は、ビジネスの基本を押さえ、さらにビジネスモデルとしてきちんと成立しているという点でした。 ビジネスというのは、「新規集客」+「リピート需要」です。基本はいつもこれです。そして、ビジネスを長く安定させるには、いかにしてリピート客を増やすか、なのです。世の経営者の中には、この単純な原理をわかっていない人も多い中、加藤さんは、これを押さえているのは素晴らしいことです。具体的に言うと、「見込み客」→「顧客化」→「リピート」という流れにおいて、それぞれに方策を施し、それらが型になっているということです。 まず、見込み客と新規集客に関しては、SNSを非常に巧みに活用されています。その筆頭は、ブログでしょう。もともとイラストレーターだった加藤さんは、日々の育児の様子を記録した育児ブログを立ち上げました。

育児ブログぷっぷくほっぺ

ブログで共感してくれた人たちがファンになって、教室に来てくれる

このブログを、とにかく毎日更新しています。ブログというのは、自分と似た価値観の人がファンになってくれて、読んでくれるだけでなく、コメントをやり取りしてつながることができます。これは、まさにご自身の「ファン作り」つまりビジネス用語では、「見込み客開拓」になっているのです。このブログに、ベビマ教室やさまざまなイベントを告知すると、読者のファンの方が反応して参加してくれる流れが出来ます。ファンになってくれた方たちなので、少々遠い場所でも足を運んでくれます。つまり、ビジネス用語で言うと「商圏を広く取れる」ということで、これが成立するととても有利な戦略となります。 この毎日更新のブログ投稿記事を、Facebookやツイッターなどを使って、さらに拡散させることで、見込み客と新規客を獲得しています。

こうして教室に来てくれたお母さんたちには、名刺を渡して連絡先を交換します。この時に、LINEをやっているお母さん(今のお母さんは、ほぼ100%やっています)には、加藤さんのLINE@(ラインアット)ページを登録してもらい、その後の連絡に使っています。最初に渡した名刺は、あくまでLINE@に登録してもらうきっかけと、お友達にクチコミしてもらうためのツールです。LINE@は、通常のLINE機能の他に、マイページが作れて、一斉投稿も個別投稿もできるので、コミュニティやサークルの運営には、大変便利です。こうして、LINE@で、イベントや教室のお知らせをして、さらに個々の質問に答えたり、個別にやり取りをすることで、見込客の顧客化と新規客の固定化を図っています。

加藤さん4

生徒へのプレゼントが、同時にプロモーションに!

次にリピートです。LINE@によるイベント告知や質問等の個別対応も、リピート促進に大いに役立っていますが、それ以上に、加藤さんのベビーマッサージ教室に「また来たい」と思わせる施策が、きちんと施されています。加藤さんの教室では、いろいろなカワイイシチュエーションを作って、赤ちゃん写真を撮ってあげています。

加藤 響子さん1

こうしたちょっと特別な写真を撮って、データをプレゼントしています。それと同時に、ブログに教室の様子としてアップします。お母さんは、わが子の記念写真がもらえて、さらに、自分がファンとしていつも読んでいるブログにわが子が掲載されるので、ダブルでうれしいわけです。これが、参加満足度を格段に引き上げ、リピートを生むわけです。実際、加藤さんの教室のリピート率は80%だそうです。これは、通常のビジネスで言うと、驚異的な数字です。

策を関連付けて回すと、ビジネスモデルになる

加藤さんの教室の一番の成功要因は、ブログとか、LINE@とか、赤ちゃん写真といった、個々の取り組みそのものではありません。ビジネスの基本に則って、それぞれに目的を持った一つ一つの施策が、ビジネスモデルとして相互作用して回っていることが、成功要因です。これを「ビジネスが回っている」という表現をします。加藤さんの報告から学んでいただける一番のポイントは、まさに「施策そのものではなく、やっていることが回っているかどうか」だと言えるのではないかと思います。

「お客さんのハッピー」が働くことの一番の意義、
「儲ける」ことは続けるための条件でしかない

私は、実を言うと「ベビーマッサージで起業する」という風潮には否定的な立場をとっています。しかし、加藤さんの事例をお聞きして、考えが変わりました。それは、加藤さんの動機が「働くママの背中を見せたい」だったことが大きいと考えています。働く楽しさ、働く素晴らしさを伝えるために、加藤さんは、純粋にママたちにハッピーになってもらうことを一番に考えています。そして、それを続けていくために、きちんと算盤勘定は合うように運営しています。こういう「ベビマで起業」なら、ありだと思います。

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