第8回育児セラピスト全国大会2017大阪会場「10年の時を経て」

優秀実践発表2017・大阪会場

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アタッチメント教室部門:福原 寿々代さん(親子教室講師・子育て支援非常勤職員)

全てをリソースと捉えて前に進んで拓いた「社会人第2のキャリア」

福原寿々代さんは、奈良県生駒市で子育て教室「sourire~スーリール~」を主宰する傍ら、大阪市の子育て支援の非常勤職員をされています。そんな福原さんは、もともとは金融関係の一般企業に10年以上勤め、一般事務、人材育成などを経験してきましたが、第一子の出産を機に退職し、専業主婦となりました。出産後、子育ても落ち着いてくると、福原さんは、「社会人第2のキャリア」を拓くべく動き出します。その際に、どうしようかと考えた時、「子ども関係」でやっていこうと決めたそうです。

そこから、アタッチメント・ベビーマッサージ、育児セラピスト1級、キッズマッサージ、アタッチメント・ジムと立て続けに資格を取得し、その後、アタッチメント食育、アタッチメント・ヨガを受講し、子育て支援や子どもの発達についての知識とスキルを身に付け、また教室のレパートリーを増やしていかれました。

福原さんは、これらの資格について、こんな風に言っています。

「これらの資格の中で、活かせてない資格は一つもありません。すべて今の自分に活きています。」

この福原さんの言葉は、私には、非常にうれしい言葉でした。それと同時に、資格に対する考え方は、本来こうあるべきだとも思いました。この福原さんの考え方の対義語は、「資格を取ったら稼げるんですか?」という考えです。どんな資格も、資格を活かせる人は、人生に活きるし、活かせない人は、人生に活きない、というのが原則だと思います。税理士資格や弁護士資格だって、人生に活きてる人と、そうでない人がいるのですから。

そうして、ママ&ベビー&キッズ子育て園「sourire~スーリール~」を立ち上げます。福原さんの強みは、この「リソースを活かす力」だと思います。教室立ち上げ時は、一般企業で培った経験をフル動員して、人脈を広げたり、教室のコンセプトを作り上げたりしました。そして、資格を取得して、自分らしい教室作りをして、その後もそのレパートリーを広げていきました。持っているリソースをすべて使い切って。

生徒さんと長く関わる、そのために守る「ひとり一人対応」」の方針

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福原さんが、教室をはじめるに当たって、決めた方針があります。一人一人の生徒さんと、長く関わるお付き合いをしよう。そのために、お母さん一人一人とマンツーマンで話をして、お子さんもワンツーワンの内容を提供しよう。そのために、生徒さんの来る時間をずらして、これを実現しているそうです。また、長く関わるためには、対象年齢を広げていくだけでなく、より多くのコンテンツを提供する必要があります。ベビーマッサージだけだと1歳で終わってしまうので、キッズマッサージ、アタッチメントジムを取り入れて、6歳まで対応できるようになって、いろんなお母さんの悩みにきちんと向き合うために、育児セラピスト1級を取って、さらに、アタッチメント食育を取って、子育てのための食育の話もするようになり、さらに、妊娠期から関われるようにアタッチメント・ヨガを取り、「sourire~スーリール~」は今の形になっています。

実際、市の子育て相談や、他の大人数のベビマ教室では、じっくり話せないと感じる「じっくり話したいニーズ」の生徒さんが、福原さんの教室に集まっています。それは、「福原さんの教室でなければいけない生徒さんたち」が集まっているということです。その意味で、福原さんの教室では、逆クチコミのような現象が起きているそうです。普通は、良い教室はクチコミが起きるのですが、隠れ家の名店のように、福原さんの教室を生徒さんは他のママに教えたがらないそうです。福原さんの時間は限られているので、教えてしまうと、自分たちの時間が減ってしまうからです。こういう状況を作ってしまうと、やりようによっては、非常に安定した、そして質の高い、満足度の高い教室運営が可能になります。

立ち上げ当初の苦労の連続から、軌道に載るまでの長き道のり

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今では、教室をうまく回している福原さんですが、立ち上げ当初は、苦労の連続だったのは、他の方と同様です。福原さんの住む奈良県生駒市というのは、子育て支援激戦区だそうで、「石を投げれば、ベビマ教室に当たる」ほどだそうです。そういう中で、新しく立ち上げるのですから、それは並大抵ではありません。

最初に張り切って1000枚ものチラシをまいたものの、1か月半の間、何の音沙汰もなかったそうです。しかし、この何も反応のない間に、黙って嘆くのではなく、この時間を「学び」に当てて、起業塾や地元小売店の実践発表など、様々な勉強をしたそうです。ここで学んだことが直接活きるわけではないとしても、この姿勢こそが、成功の秘訣だと、私は確信を持って言い切れます。

1か月半後、ようやく最初の反応がHPから来て、最初の生徒さんと、マンツーマンの初レッスンです。この「最初のひとり」に満足して帰ってもらえば、あとは、2人3人と自然と増えていくのが、こうした子育て支援系の教室の常です。大事なのは、満足して帰ってもらうことです。それによって、リピートが生まれるだけでなく、クチコミによって、新規の生徒さんも集まるダブル効果なのです。これが、うまくいけば、最終的には、集客は必要なくなります。福原さんの教室も、あと一息で、この域に達するでしょう。

 教室を立ち上げた後、この教室の運営の傍らで、福原さんは、大阪市の非常勤職員として子育て支援に携わります。そして、ここでも、持てるリソースをフル活用します。市の子育て支援課の上司や他の職員に、福原さんの持っている資格をアピールします。「わたし、こんな資格も持ってて、こんなことも出来るんです~!」すると、職員さんたちが福原さんの資格をクチコミしてくれるようになりました。「うちの課に、マタニティヨガのインストラクターがいるよ!」といった感じです。そうして、実際に、マタニティヨガのクラスを今度持つことになったそうです。

こうして、「sourire~スーリール~」の活動と、大阪市の子育て支援の仕事が、上手くリンクして、福原さんの活動は広がっています。

さらに手を広げたボランティア活動では、TV取材を受けるまでに

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留まるところを知らない福原さんの活動は、今度は、生駒市のボランティア「イコ・ママボノ」に向かいました。これは、結婚や出産で退職し、再就職を目指す女性や育児休業中のママが、これまでの仕事の経験やスキルを活かし、NPO活動を支援するボランティアプロジェクトです。福原さんらのこの取り組みは、NHKの取材を受け、テレビで取り上げられました。

それを狙った訳ではなく、たまたま降ってきたチャンスでしたが、これが、新規会員や話題に繋がり、福原さんの教室「sourire~スーリール~」も少なからず恩恵にあずかりました。また、福原さん自身の大きな自信に繋がりました。

「一つのチャレンジが、思いもよらぬことに繋がったり、広がったりする」

と福原さんはおっしゃいます。

しかし、私は、こうしたことは、偶然やたまたまではなく、必然であると見ています。福原さんは、「自分」という一貫した軸をもって、様々なことにチャレンジして来られました。「自分の興味」と「自分に出来ること」に忠実に、一貫性を持って、そしてあきらめずに、取り組んでこられました。こうした姿勢が、実を結ぶのは、必然です。このタイミングで、テレビ取材の形で訪れたのは、偶然かもしれません。しかし、「誠実な活動」は、何らかの形で、必ず実を結ぶのだと私は信じています。

福原さんのバイタリティと、あきらめない心に、私も元気と勇気をもらいました。ありがとうございます。ステキな社会人第2キャリアです!

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