第8回育児セラピスト全国大会2017大阪会場「10年の時を経て」

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アタッチメント食育部門:牧 香奈子さん(予防医学講師・看護師)

看護師から、食事で防ぐ予防医学、そして食育へ

今回、牧さんが選ばれた一番の理由は、「アタッチメント食育での活躍の一つの形」として、新たな可能性を見出してくれた点です。牧さんの仲間内では、「アタッチメント食育での優秀実践賞の受賞は難しい」と話していたそうです。

確かに、ベビマやヨガ、あそび発達などのように、教室で親子が取り組める営みがあって、その営みを通してアタッチメントを伝える他のインストラクター活動に対して、食育は、座学になります。必然的に、アタッチメント食育の活かし方は、ベビマなど他の営みを主とする親子教室や子育て支援の場があることが前提になる事例が多いわけです。実際、今回発表してくださった福原さんも、アタッチメント食育を活かしていますが、それは、ベビマやキッズマッサージ、アタッチメント・ジムの教室の中のプログラムとして活用されています。

その意味で、牧さんの行っているアタッチメント食育の活動スタイルは、新しい活動スタイルとして、みなさんの参考にしていただけるかもしれません。

牧さんは、偶然にも、前出の福原さんと同じ奈良県生駒市を拠点に、看護師をする傍らで、予防医学を伝える講師として活動されています。最初は、兵庫医科大学病院の血液腫瘍科というがん治療を行う科の看護師をして、様々ながん患者さんを見たそうです。亡くなる患者さんもいます。そんな中で印象的だったのが、中学生のある患者さんと、高校生のある患者さんが亡くなってしまった時のことです。どちらのお母さんも、食事のことにもっと気を付けてあげればよかったと悔いていたそうです。

そうした経験もあり、その後、看護師として人間ドックへ転職し、そこで人間ドック食生活アドバイザーという資格を取りました。これが、予防医学の道の入り口となりました。そこで学んだのは、生活習慣病、特に子どもに起こる生活習慣病には、大きな問題意識を持ちました。ご存知のように生活習慣病は、食事で予防できます。しかし、そこで見えてきたのは、生活習慣病患者の心の問題でした。食習慣は、心の問題と密接に関わっていたのです。その食習慣における心の問題、すなわち食に対する興味の薄さは、そのまた親に起因していて、その人の子ども時代から親によって刷り込まれた食習慣によるものだとわかりました。

0歳から始める食育で病気を予防しよう

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そうして、牧さんは、食によって、病気を予防するためには、「0歳から始める食育」が最も良い。という結論に達しました。そこで、たくさん食育が学べる協会の中から、片っ端から資料を取り寄せましたが、栄養学だけでなく、発達心理学、歯学と共に学べて、子育てに添って伝えられる食育ということで、アタッチメント食育を受講しました。すでに当協会のインストラクターとして活動している看護師の杉原美代子さんの活動報告も、受講の決め手となりました。

こうした活動を始めるわけですが、最初は、みなさん同様に、いばらの道でした。何せ、子育て支援激戦区の生駒市ですから、チラシを駅前で配ったり、お店や子育て支援センターに置いてもらえるように営業したりしましたが、半分以上は、無料のもの以外はお断りでした。

さらに、起業塾や女性起業家の集まりに出たり、Facebookやブログで集客を挙げるためのセミナーに参加したりして、ビジネスを学びました。そして、自力でFacebookとブログを開設。これらは、看護師として働きながらすべてこなしました。記事を毎日上げるのは大変ですが、おかげで、これらは、今でもメインの集客を担ってくれているそうです。

たった一人のマンツーマン講座から話題の食育講座へ

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そんなこんなで、はじめての講座は、マンツーマン。これもセオリー通りです。そんな感じでじっくり取り組んでいた牧さんの活動の転機となったのは、ある受講生さんのアドバイスでした。「お茶を飲めたり、飲食できたらママも気分転換になるんじゃない?」この一言が転機となったそうです。早速、牧さんは、自分が客として行っていたオーガニックカフェのオーナーさんに依頼し、カフェでランチ付の食育講座を開きました。すると、「看護師さんから専門的な食育講座が子連れで学べ、美味しいランチが食べれて、悩みが共有できる場」として、口コミで広がり始めたそうです。

そして、「食をしっかり学べる場が欲しかった」という子育てママや孫育てバアバの潜在的なニーズに応えたことで、牧さんおランチ付食育講座は、口コミでさらに広まり、現在では、のべ2,000名のパパママ、おばあちゃまが受講するに至ったそうです。

生駒市からも認められ、活動のステージは行政にまで至る

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当初は、奈良県5会場を拠点とし活動していいましたが、ブログ、Facebook、LINE@の読者や、地方から参加された受講生から招致を受け、兵庫2会場、大阪2会場、名古屋、滋賀、広島、京都と次々出張が増えるようになったそうです。

さらに、牧さんのこの活動が生駒市広報課の目にとまり、生駒市広報誌で紹介され、生駒市長と連携が取れたことで行政の管理栄養士、保健師と生駒市の食育について対談をすることになったそうです。そして、これが縁で、生駒市食育推進計画事業の参加メンバーに選ばれるまでに至りました。

牧さんの今の活動を見ると、一見とても華やかですが、そこに至るまでには、実に地道な努力と、根気よく活動を続けてきた歴史がそこにあります。そして何より、牧さんの「食で病気を予防が出来ることを知らせたい!0歳から食育を始める考えを広めたい!」という本気の思いを、誠実に伝えてきたからこその結果だと思います。牧さん、アタッチメント食育インストラクターの新しい活躍の形を、われわれに示して見せてくれて、本当にありがとうございます。応援しています。

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