第16回 育児セラピスト全国大会in2025 開会のあいさつ

子育てルネサンス・・・ふたたび

2025年の全国大会は、「子育てルネサンス、ふたたび」というテーマを掲げました。「子育てルネサンス」は、わたしが20年近く書き続けている理事長ブログのタイトルでもあります。ルネサンスは、「復興」「再生」を意味するフランス語で、かいつまんで言うと、アートの分野から端を発して、古典の価値を見直し(復興)、再び生まれ変わらせる(再生)運動です。

子育ての世界にも、ルネサンスを起こしていこう!というのが「子育てルネサンス」なのですが、これを「ふたたび」ということで、もう一度見直すことで、これまで見えていなかった大事なものや、捉え方を発見できるのではないかと考えました。

非認知能力をルネサンスして、本来の価値に立ち帰る

今回の裏テーマとして「非認知能力」を据えました。ここ数年で一般でも語られるようになった非認知能力を「ルネサンスしてみよう」というわけです。

J・ヘックマンが提唱したこの概念は、これまでの教育の前提をひっくり返すものでした。IQや偏差値、テストの点、通知表といった数値で測れる能力(認知能力)よりも、性格傾向や物事の捉え方・考え方といった数値化できない能力(非認知能力)の方が、学力や収入に、幸せになる力にまでも影響することを、エビデンスベースで証明したのです。

しかし、この言葉が一般化するにつれて、今では単に「頭のよい要素」と捉えられてしまって、言葉だけが踊ってしまっています。その結果、大人や学校の先生は、未だにかつての数値化できる認知能力の方に価値を置き続けます。なぜなら、数値化したものの方が、大人にとってわかりやすいからです。そして口では声高に言います。「非認知能力が大事だ」「探求型学習の時代だ」と・・・

せめてわれわれは、古典に立ち返って、ルネサンスしましょう。子育てにおける古典とは、ボウルビーやピアジェ、エリクソン、アドラー、モンテッソーリ・・・そして、原点となるのはフロイトでしょう。すべて、育児セラピストの学術的背景を支える先人たちです。

彼らは、何と言っているでしょうか?自己肯定感、探求心、好奇心、自律心、自制心、共感力、社会性、コミュニケーション・・・どれも非認知能力に置き換えられる要素ばかりです。

子育てにおける古典は、未来を拓く子どもを育てるムーブメントを起こす!

非認知能力は、新しい概念ではありません。子育ての古典が、昔から大事にしてきた要素をひとまとめにした概念です。それがエビデンスベースで証明されたことに大きな価値があります。つまり、100年前から言われていることを検証した結果、本当にそうであることが証明されたわけです。

われわれが受け取るべきは、「自信をもって非認知能力を育てる子育てをすることが出来ますよ!」というメッセージです。この事実を、素直に受け止めて、子育てをルネサンスすることです。 世界に目を向けると、このムーブメントは、もう走り出しています。残念ながら、日本は後れを取っている状況です。本当の意味で、非認知能力を育てる子育てを実践しましょう。親御さんを導きましょう。今回の全国大会は、それを考える“きっかけ”を作りたいと願って開催しました。


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