【理事長ブログvol.5】アレルギーとベビーマッサージオイルの誤解

アレルギーとベビーマッサージオイルの誤解

受講生からこんな質問をいただきました。

「イギリスのピーナッツアレルギーに関する研究で、赤ちゃんがピーナッツ製品を食べるのは、むしろアレルギーの予防になるが、皮膚から入るとアレルギーを引き起こす可能性がある」とテレビで言っているのを観ました。ということは、セサミオイルを使用したベビーマッサージで、ごまアレルギーになる可能性があるのでしょうか?

情報は、受け手の無知に付け込んでくる

そして、文脈によって誤解を導き、根拠もなしに不安をあおってきます。特にテレビとインターネットの情報による害は深刻です。

テレビの情報番組は、つくづく厄介です。オンエアーの放送だけでなく、インターネットでも、放送内容が掲載されます。一般人によるまとめサイトも、これに乗っかります。

アレルギー発症のメカニズムに新見解を打ち出した研究

この話の根拠となっているロンドン大学のギデオン・ラック教授によるこの研究は、数年前にも話題になりましたので、わたしも記憶しています。これまで、アレルギーにならないためには、アレルゲンを避けるのが通説でした。しかし、この研究によって、少量を摂取した方が、アレルギーを抑止することが分かったのです。同時に、アレルギーを引き起こしていたのは、ピーナッツオイルを含んだベビークリームを使っていたことが原因だった可能性が高いというものでした。

この研究自体は、充分に説得力のある内容です。しかし、番組の主張には、「欠陥」があります。それが今回の質問者の方が感じたような不安をあおっています。その「欠陥」とはなんだったのでしょうか?

昔のオイルは、精製があまかった

まず、この研究は、赤ちゃんの皮膚の傷口や湿疹などで荒れた皮膚から、アレルゲン物質が入ることによって、アレルギーを引き起こす、というメカニズムが土台となっています。だから、乳児期には、保湿をしっかりしてあげて、赤ちゃんの皮膚のバリア機能を保ってあげることが、アレルギー予防には重要な訳です。

これは、後にわかったことなのですが、当時発売されていたベビークリームに含まれていたピーナッツオイルは、今のような化粧品精製がされておらず、アレルゲンとなる成分が含まれた状態だったのです。現在は、日本を含む先進諸国では、皮膚に塗るオイルは、化粧品精製を施され、こうしたアレルゲンとなる成分や酸化を促す成分は取り除かれます。したがって、現在、同じ検証をした場合、(化粧品精製された肌用の)ピーナッツオイルとアレルギーの関連性は見られないはずです。

おむつかぶれに、アレルゲンを塗り込めば、アレルギーになる

もう一つ重要な点があります。このベビークリームは、おむつかぶれ防止のための商品であったということです。当然、おしりに塗られるわけですが、これで、おむつかぶれが100%防げたわけではありませんので、当然かぶれたおしりにも、保湿剤として塗られていたと考えられます。つまり、荒れた皮膚に、精製されなかったアレルゲンが、積極的に塗布されれば、アレルギーを引き起こすのも当然ということです。

現代では成立しない過去の研究結果をもっともらしく報ずるずさんさ

現在販売される肌用のオイル製品は、化粧品精製が施されていますので、アレルゲンは取り除かれています。ギデオン・ラック教授によるピーナッツオイルの検証は、現代では成立しないのです。このことに触れずに、ただ口から入るとアレルギーを予防するが、皮膚から入ると逆にアレルギーを引き起こす、という番組のコンテキストは、あまりに乱暴です。

本質を見極めるカギは、昔から残っている伝統か、一時的な流行か

そして、テレビ番組によって、バイアスがかかった「誤」情報は、インターネットを通じてさらに拡散され、多くの母親を惑わす結果となります。しかし、本質を考えれば、わかることなのです。もし、オイルを使ってベビーマッサージすることが、悪いことなら、それは習慣にも伝統にもならずに消えていくはずです。数百年もの長きにわたって、世界中のさまざまな国や地域で、ベビーマッサージは伝統的に行われてきているという事実が、すべてを証明しているのだと、私は確信しています。

ベビーマッサージは、むしろアレルギー予防の営みといえる

そこで、冒頭のベビーマッサージの質問に答えます。

『セサミオイルを使ったベビーマッサージをする際に、適切なオイルを使っていれば、アレルギーを引き起こす心配はありません。むしろ、オイルを使ったベビーマッサージは、保湿を促し、肌の状態を健康に保ちますので、アレルギー予防に効果的と言えます。』

また、アレルゲンとなる成分は精製されていますので、湿疹やアトピーなどの上から塗ってもアレルギーになる心配はあり ません。むしろ、これまでの実例で言うと、アトピーの赤ちゃんに、ベビーマッサージをやることで、快方に向かう例はたくさんあります。(もちろん、湿疹の患部は避けたり、優しく行ったりする工夫は必要となります。)

ベビーマッサージでパッチテストが重要な理由

ただし、すでにアレルギーを持っている赤ちゃんの場合は別です。そこで、当協会では、ベビーマッサージを始める前に、必ずパッチテストを行うように指導しているのです。これは、お母さんの安心につながるのです。腕の内側などに、直径2cm 程度の大きさでオイルを塗布します。もしそのオイルの材料にアレルギーがある場合、すぐに皮膚が赤くなります。アレルギーだけでなく、その日の体調なども関係しますので、赤くなったからアレルギーとは限りません。また、前回大丈夫だったから、この先ずっと大丈夫とも限りません。だから、ベビーマッサージ教室では、毎回パッチテストを行うように指導しています。

食用オイルは口から、化粧品オイルは皮膚からが原則です

最後に余談ですが、日本アタッチメント育児協会のセサミオイルも、もちろん化粧品精製が施されています。セサミオイルについて言えば、よく「食用の白ごま油」を加熱処理だけして、ベビーマッサージに使う方がいますが、当協会では、絶対に推奨しません。その理由は、まさにこれです。
食用のオイルは、酸化を促す成分やアレルゲンとなる成分が精製しきれていない可能性があります。当時のイギリスのピーナッツオイルと同じです。口から入れば(経口)、問題はありませんが、皮膚から入った場合(経皮)、アレルゲンや酸化成分を塗りこむことになってしまいます。ですから、食用のごま油は口から、皮膚に塗るのは、化粧品のごま油(セサミオイル)と指導します。

パッチテストの方法~復習しよう!~

➊ 赤ちゃんの上腕の内側、または太腿の内側(イラストのピンクの部分)直径2cm 程度の大きさで、ごく少量のオイルを塗ります。
➋ 15 ~ 20 分ほど待ちます。
➌ 赤くなったり、湿疹がでなければ大丈夫です。

敏感肌の赤ちゃんは24 時間待って様子をみましょう。赤ちゃんの体調等によっても変化しますので、様子がいつもと違うときは、専門医に相談しましょう。

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