問題行動の原因は、発達障害だけじゃない!

「なぜそれをするのか?」によってわかる 発達障害なのか? 愛着障害なのか?

今回は、発達支援アドバイザー講座の受講を検討されている方からのお悩みに、わたしがお返事したときの内容をシェアしたいと思います。同じように悩まれている現場の保育士さんや、学校の先生、子育て支援の方々にとっては、参考にしていただけるのではないかと思います。

Q:『現在年長組担任をしていますが、クラスの中でも一番目立つ子の対応に悩んでいます。一番目立つ事と言えば、友達の嫌がることをしてしまう。食べた物を口から出して友達に擦り付ける、友達の作った玩具を壊す、砂や玩具を投げる等、しかし保護者は、何か理由がないとそういう事はしないと言うので、必ずしてしまった時は、理由を聞くようにはしています。しかしその行動は改善されることはなく毎日、その子の対応で、本来年長組としての活動が出来ないです。クラスとしては、19名で1人担任です。その目立つ子以外にも切れやすい子や落ち着きのない子等もいたりするので、こちらの講座にはとても興味が有ります。』

A:メール拝読させていただきました。
現場からのこうしたお声を聞かせていただけることは、当協会にとっても有意義なことですので、大変ありがたく読ませていただきました。いただいた内容のみでは、見立てに限界はございますが、少し気づいた点がありましたので、参考までに共有させていただきます。

まず、「友だちの嫌がることをしてしまう」ことの要因は、この子の場合、愛着障害と発達障害の両方が考えられるようです。

「食べたものを口から出して、友だちに擦り付ける」という行為は、年長さん(知的遅れがないと仮定して)であるとすると、習慣や衝動によるものというよりも、“意図的”なもののようです。先生に「かまって欲しい」「相手にされたい」という動機によるものかもしれません。こうした行動は、発達障害よりも、むしろ愛着障害による行動特性が考えられます。その場合、何かしら「その子特有の感情のすれ違い」が起因しています。理由を聞いてもすねたように振舞うことが多いかもしれません。

次に「友だちが作ったものを壊す」、「砂や玩具を投げる」という行為です。こちらは、先に挙げた「注目されたい欲求」も考えられますが、「衝動」によるものの可能性もあります。 衝動による行動であった場合、悪気はありません。理由を聞くと「そうしたかった」「興味があった」「欲しかった」「びっくりした」といった単純な理由であったりします。こうした衝動は、発達障害の特徴的行動です。

子どもが、問題行動をしたときに、理由を聞いてあげるのは、とても大事なことです。子どもが何をどう答えたかによって、問題行動の原因が違ってきます。その子への対応や支援も変わってきます。

最近は、「発達が気になる子が増えている」という保育現場からの声を、ますますよく聞くようになりました。保育士さんは、クラスの運営が大変になってしまうことでしょう。 しかし、適切に対応してあげることで、問題行動がなくなる(または軽減する)ケースもたくさんあります。 ひとつの問題行動がなくなっただけで、その子は大きく成長し、落ち着いてくれます。その子の落着きは、他の園児の落着きにもつながり、保育にも大きな余裕が生まれます。 「アタッチメント発達支援」は、そのためのものです。大変だと思いますが、ぜひ取り組んでみてあげてください。

一般社団日本アタッチメント育児協会

廣島 大三

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