お悩みSV・東京会場Cグループ「小・中・高の親の悩みや子どもの問題を相談できる先が、行政の仕組みに存在しません。どこを頼ればよいのでしょうか?」

恒例!お悩みスーパーバイズ 2022

スーパーバイズとは「今抱えている問題・悩み」をグループごとに話し合ってもらい、それに対して当協会理事長の廣島のスーパーバイズのもと、参加者全員からも意見をもらう、というものです。

小・中・高の親の悩みや子どもの問題を相談できる先が、行政の仕組みに存在しません。どこを頼ればよいのでしょうか?

東京会場で参加された中山さんが、代表してお悩みを発表してくれました。 子育て支援というと、0~5歳が主体です。ギャングエイジの9歳、中2の反抗期、思春期、青年期・・・子どもが何歳になっても、親の悩みは尽きないはずです。それなのに、小学生以降の子どもの親に対する子育て支援がありません。行政のどこで、小・中・高の子どもの親の話を聞いてくれるのでしょうか?母親学級は、子どもが小さいうちしか利用できません。もっと大きい子どもの母親は、どこで悩みを相談すればいいのでしょうか?

これについては、中学校の先生をしていた佐伯さんが意見をくれました。

「学校というのは、どうしても“ことが起こってから”対応する組織です。子どもが不登校になった、家でDVが起きた・・・そうなってから、『スクールカウンセラーをつけよう』『SSW(スクールソーシャルワーカー)に話を聞こう』という対応をします。

現場の教員として思うのは、いかにして予防的に、火種の段階で、それらを摘み取っていけるのかということです。その受け皿として、小・中・高の親御さんが相談できる場はありません。学校としても切実な問題として受け止めていて、その受け皿を欲しているところです。学校が受け皿となり得るかというと、スクールカウンセラーも、SSW(スクールソーシャルワーカー)も足りていないので、事実上対応できていません。解決策は持っていませんが、この問題の重要性は、現場にいて強く感じています。」

この問題は、佐伯さんの言うとおり、行政のなかに解決策はありません。本来は、スクールカウンセラーや、SSW(スクールソーシャルワーカー)が、それを担う存在になり得るのかもしれません。でも、現場では人数がまったく足りていないということです。そこには、人材確保と予算の問題が関わっているのでしょう。

わたしは、この問題は、日本の行政に頼ることはできないと考えています。行政を当てにしているうちに、お母さんの心が、子どもの心が折れてしまいます。

「相談できる先を、みずから見つける」ことが必要です。

そのためには、悩んでしまう前や、子育て支援に頼れる時期から、“適切な受け皿” を探しておく必要があります。悩み始めてからでは遅いのです。

その “適切な受け皿”たり得る場所はどこにあるのか?ひとつ提案できるのは、地元にある心理学部を擁する大学です。そうした大学の多くは、カウンセリングルームを持っています。それは、心理職を志す学生のOJTの場でもあるので、一般の相談を安価で受け付けています。学生と言っても対応するのは院生で、その大学の教授や准教授がスーパーバイザーとしてバックアップしていますので、レベルは高いうえに、親身に相談にのってくれることが期待できます。

事前に調べておく必要があるので、心が元気なときでないと、探しきれません。なので、事前に目星をつけておく必要があります。これなら、多くの人にとって応用が利きます。無料ではありませんが、生活を圧迫するほどの相談料ではありません。

現代人にとって「気軽に相談できるカウンセラー」の存在が、必須となる時代がやってきています。当協会でも、一昨年に「アタッチメント・心理カウンセラー」の講座を開講しました。その意図は、まさにここにあります。

アタッチメントを実感している人が、カウンセリングを学び、大人も子どもも対応できる。育児セラピストは、全国に1万人います。その人たちのなかで、カウンセリングを学んだ人が、地域の親の相談の受け皿になり得ます。しかし、それは、行政の枠組みにおいてではないと思っています。むしろ、ベビーマッサージ教室の始まりの時のような形ではないかと考えています。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

コメントは受け付けていません。

このページの先頭へ