子どものメンタルヘルス:解離という精神障害と親子関係(2)

前回からの続きです。

実際に解離傾向が見られる子ども(6歳)とその両親の臨床テストも行われています。
部屋の中で、子どもの両側に両親がそれぞれ座って、おもちゃを与えます。それを、子ども側と親側の両方からビデオ撮影して観察するものです。

結果として、解離がみられる子の親は、子どもと関わることが出来ておらず、子どもと共に行うやり取り(一緒に遊んだり、子どもと会話を発展させること)が非常に少なく、また、時間も短い、という結果が出ました。
一言で言うと「子どもと関われない親」ということになります。

この親が、子どもに対する愛情がないから、このような態度なのでは決してないと、ボクは思います。子どもへの愛情は、十分に持っているのだと思います。
でも、何らかの理由で、その愛情を子育てに生かせない。
その理由は、何かと言いますと、これは、ボクの私見ですが、「早期アタッチメントの欠如」というのが、大きな要因としてあると思います。

簡単に表現しますと、子どもが乳児期の頃に、適切なアタッチメント(愛着関係)を築くことが出来なかった母親(父親)は、子どもの存在に対する実感が欠如しがちで、その結果、子どもというものが、理解できず未知の生き物のように感じてしまったり、愛し方がわからなかったりしてしまう、ということです。

先生は、解離とアタッチメントの欠如の関連性は述べておられませんでしたが、解離を治療するのに必要な親の態度としてあげられる特徴は、主に乳児期の早期アタッチメントを深める過程の中で身につく資質であることは、間違えありません。
つまり、子どもを絶対的に何があっても認めてあげる気持ちや態度、共感、情緒応答性や、子どもとの遊びや会話を深めたり、子どもの働きかけを発展させる資質といったものです。これらは、アタッチメントを深めていく過程の中で、本来、自然と身につく資質です。

そんなわけで、今回の「解離」のお話の中でも、早期アタッチメントの重要性を、とても感じました。もちろん、コレだけではないのですが、そもそも、子どもの心を病気にさせないための一つの要望策として、乳児期の早期アタッチメント形成は、非常に有効ではないかと思います。

P.S. アタッチメントは、子育てをしてく中で、通常は自然と形成されるものですので、特にベビーマッサージのような特別な取り組みが、必ずしも必要なわけではありません。ベビーマッサージなどの取り組みは、アタッチメント形成を助け、促す取り組みではありますが、それをしなかったからといって、即アタッチメントの欠如につながることは、ありません。

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