【理事長コラムvol.3】子どもの問題行動は、どこからやってくるの?

廣島理事長

こんにちは、日本アタッチメント育児協会の廣島です。

4月というのは、年度始めであり、新しいことが始まるタイミングでもあります。皆さんの中には、お子さんが、春から保育園に入ったり、年少組から年中組、年長組へと上がったり、保育園から小学校に上がったりする方もいるでしょう。そうすると、クラスの構成や顔ぶれ、そして担任の先生も変わり、子どもは、相応の変化を余儀なくされます。

変化は、不安を生み、問題行動の種となる

こうした「変化」の数々は、子どもたちの心の中に「不安」を生み出します。そして、その「不安」は、時に子どもの「問題行動」につながることがあります。今回は、子どもたちに起こる「変化と不安」をテーマにお話します。

このコラムをお読みの皆さんの多くは、お仕事で、複数の子どもたちと接している方も多いと思いますし、仕事でなくとも、ご自身が子育て真っ最中の方も多いと思います。そうした中で、子どもの問題行動に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

グズる子ども

そうした問題行動に対して、何にでも効く特効薬のような対処法も魔法の言葉かけも、存在しません。しかし、問題行動の背景や解釈を知ることは、非常に有効です。これについては、今号の「理事長に聞いてみよう」のQ&Aも、参考になると思いますので、読んでみてください。

さて、子どもにとって、変化の多いこの時期、保育園や家庭で、子どもが不安定になってしまうケースがあります。これまで問題なく保育園に行けていた子が、突如行くのを嫌がり、グズるようになったり、何でもないことで火がついたように泣いてしまったり、あるいは、行動が乱暴になったり、他の子に噛みついたり、叩いたりする行動が見られたりすることもあるでしょう。あるいは、おトイレに行けていた子に、突然オネショが再開したり、卒業したはずの夜泣きやオッパイが始まったり、赤ちゃん返りのようになることもあります。

問題行動に慌てず、一息おいて子どもに思いを巡らせる

こうした問題行動に対して、保育者も親も、「一体この子に何が起こったのか?」と不安を感じ、何とかして解決しようと頭を悩ませることでしょう。もしかしたら、こうした問題行動をしないように言って聞かせたり、説得あるいは問題行動を禁止しようとするかもしれません。

しかし、こういう時こそ、問題に直接対応する前に、一呼吸おいて、その子の問題行動の背景を想像してみましょう。見立てが合っているかどうかは、問題ではありません。問題行動に直接反応するのでなく、その背景に思いを巡らせることに意義があります。そうした態度は、子どもにとっても救いとなります。

例えば、4月や5月は、進級によって、クラスの顔ぶれが変わったり、担任の先生が変わったりといった環境の変化があります。こうした変化は、子どもにとって大きな不安要因となります。あるいは、親御さんの仕事などに、異動や配置転換などの変化があれば、家庭はバタバタして、子どもへの関心が薄くなりがちだったかもしれません。我々大人なら、少し考えれば、本人に聞かなくても、これくらいの想像は、簡単にできるでしょう。しかし、この「簡単な想像」があるかないかは、子どもの問題行動に対処するにあたって、とても大きなカギとなります。

子どもにとって、不安は、得体のしれない負のエネルギー

不安な子ども

子どもは、自分が抱えている不安を言葉にすることはできません。子どもにとっての不安の感覚は、得体が知れなくて、なんだかわからなくて、どうにも対処できない感覚です。この感覚は、子どものエネルギーそのものです。フロイトの言うところの「リビドー(強い欲動や衝動)」の一つの形とも言えます。これが、時に子どもを問題行動に駆り立てるのです。

つまり、子どもは、自分に起こった環境変化によって、得体のしれない「不安」を一方的に投げつけられ、それにどうにも対処しきれずに、負のエネルギーを膨らませてしまうのです。それによって、メソメソしたり、ギャン泣きしたり、暴力的になったり、赤ちゃん返りしたり、といった問題行動として表面化する、というメカニズムです。

特に言葉の達者になる5・6歳から小学校低学年くらいの子どもだと、親や保育者は、もう何でも言葉で表現できるものと思っています。だから、自分に起きた環境変化やそこから生じる不安を、わかっている、意識出来ている、言葉にしてくれる、と思ってしまいがちです。実際には、子どもは、その「変化」を言葉にすることも、「不安」を意識することも出来ず、ただ訳もわからず「そう(問題行動の状態に)なっちゃってる」のです。決して悪意があるわけでもなく、何か不満があるわけでもないのです。ただ「そうなっちゃってる」のです。

問題行動そのものは、問題じゃない

今回のコラムのタイトル「子どもの問題行動は、どこからやってくるの?」に対する答えは、優等生的に答えれば「環境変化とそこから生まれる不安」という感じになります。しかし、ここで言いたいのは、そんな大人目線な答えではありません。子どもの目線から見た答えこそが、われわれにとって意味があるのではないかと思うのです。

つまり、「問題行動は、どこからかやって来る(何か原因がある)ものではなくて、そうなってしまっているもの」であり、何らかの環境変化があったとき、子どもは否応なしに、それに巻き込まれてしまい、そのことを言葉にすらできずに、問題行動に走ってしまう、ということです。そう考えると、問題行動そのものは、問題ではないことがわかります。大事なのは、子どもの中の「言葉に出来ない不安の感情」を、上手くリリースして、癒してあげることです。

大事なのは、不安な気持ちを癒してあげること

そのための方法については、もはやみなさんの得意分野です。マッサージやスキンシップ、遊びや対話ですね。しかし、最も大事な前提は、われわれ大人が、子どもの状況を察してあげること、子どもは言葉にさえできないで、正体のわからないものに駆り立てられて問題行動を起こしているのだと、わかっていることです。

子どもと接する

今回は、この「当たり前」なんだけど、普段忘れてしまったり、見過ごしてしまいがちな「子どもと接する上での前提」について再確認してみました。なるべく、みなさんそれぞれの状況に当てはめていただけるように、少々抽象的な言い回しをしましたが、ぜひ、ご自身の環境に当てはめて、解釈してみてください。

あとがき

春というのは、われわれ大人にとっても、様々な変化が訪れる時期です。人は、変化に対して、いつでも不安をいだくものです。出来れば変化は避けたい、と感じることも多いでしょう。

一方で、変化は、人を成長させてくれます。変化に適応しようとするプロセスで、対応力が上がり、精神が強くなり、スキルが上がることを、われわれは、経験してきています。それを知っているわれわれは、時に自ら変化を起こしたり、変化の中に身を投じたりします。「イヤ」なんだけど、それを乗り越えれば、成長が待っていることを知っているからです。そう言う意味で、変化の多い春は、成長の季節なのかもしれません。子どもの時のように、変化に対してエキサイティングに挑み、成長するのは、悪くありません。

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