そうしたことが、明確に、具体的に見えていれば、親は子育てに迷うことがあったとしても、混乱して、本質を見失うことはありません。
親は、誰しも子どもを愛している。親は誰しも、子どもの幸せを願っている。そして、子育てに関わるすべての人は、子どもたちが、元気に、希望いっぱいに育ってくれることを願っている。それが、本質だと思います。
でも、こんな、当たり前の「願い」とは裏腹な状況が、現実には起こっています。
親は子育てに迷い、混乱して、立ち位置を見失い、そのことに気付くゆとりすらない。そんな中で、その子にとって、幸せとはいえないことを、その子の幸せと信じて行ってしまう。そんな、「心を育てることを忘れた子育て」を、そうとは知らずに行ってしまう。その結果として、子どもの心が壊れてしまう。こうした例は、枚挙に暇がありませんし、いまや、決して特殊なことではありません。
このことについて、医学博士で、心療内科医、脳外科医としてご活躍されている寺下謙三医師(寺下医学事務所)は、心療内科の臨床経験から、このようにおっしゃいます。
このような危機感を感じているのは、お医者さんだけではありません。
保育士や、産科、小児科の看護士、育児支援に従事する方など、出産や子育ての現場で働く方々の中には、そのことを直感的に感じ、危機感を持っている方は、少なくありません。もしかしたら、それは、「直感」などというものではなく、立場上、多くの親子と接する中で感じる「実感」なのかもしれません。だからこそ、そうした状況を何とかしたい、何か自分に出来ることをしてあげたい、という使命感を感じている方は、たくさんいらっしゃいます。
前出の寺下先生は、こんなことをおっしゃていました。
「気付いてしまった者にとって、選択肢は二つしかない。何かをやるか、黙って、気付かなかったふりをして見過ごすか。僕は前者を選んだ、それだけのことです。」
実際に、心に問題を抱えたり、心が壊れてしまう子ども(ここでは、青年期までを含んで、子どもとしています)が、年々増えています。これは、子育てをする親が抱える2つの問題が深く関わっています。
①「子育てにおける知識不足」
②「親自身のストレスや心の問題」
だから、いま、親の心のケアができて、根拠と説得力を持って、子育てを指導、指南する「子育ての専門家」が必要となっています。
この「育児の専門家」が行うのは、「治療」ではなく、「予防」です。「心を育てる」ことで、心が壊れてしまうことを予防するということです。
思春期になって、心に問題が生じてからでは、その治療は、心療内科医の寺下先生がおっしゃるように、非常に大変です。そして、元をたどると、多くの場合、乳幼児期や学童期にその原因を見つけることになります。だからこそ、乳幼児期から学童期までの子育てにおいて「親を教育すること」が予防になるのです。
「親を教育する」というのは、どういうことか?
それは、根拠を持って、育児を指南することであり、また、親や養育者自身の「心を整えてあげる」ということであり、「親であること」を気づかせてあげることでもあります。そして、「心を育てる子育て」へと、いざなうことです。
さらに、「心を育てる」という「予防の営み」は、単なる予防ではありません。
「心を育てる子育て」によって、情緒が安定して、想像力豊かな右脳と、論理構築能力と問題解決力にすぐれた左脳のバランスのとれた子どもに育ちます。
人間の豊かさや頭の良さは、学校の成績でもテストの点数でもなく、こうした特長なのではないでしょうか。そして、そうした豊かさの元に、自分の人生を、自分で切り拓いていけることこそが、「子どもの幸せ」ではないでしょうか。
そして、未来を引き継ぐ子どもたちのために「心を育てる子育て」を伝え、指南することが出来る人材が、これからの子育てには、必要不可欠です。
そのためには、多岐にわたる専門知識とスキルが必要となります。それは、専門課程を学んだ保育士さんや、看護士さんでさえ、持ち合わせないものであり、発達心理学などの学問を学べば得られるものでもありません。
「育児の専門家」として、親や養育者に、必要な知識と癒しを施すための知識とスキルとその方法を身につけ、その水準を証明する資格、それが、
育児セラピストです。